GC-QMS Application: PY-GC/MS法によるフタル酸エステル類の迅速分析

  • 概要

MSTips No.298

概要

樹脂の可塑剤として使用されるフタル酸エステル類は、内分泌攪乱物質として人体への影響が懸念されていることから、その使用については様々な規制により制限されている。2019年7月22日に施行された改正RoHS指令(RoHS 2.0)では4物質(フタル酸ジイソブチル:DIBP、フタル酸ジブチル:DBP、フタル酸ブチルベンジル:BBP、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル:DEHP)が対象となっており、測定法としては精密分析として溶媒抽出-GC/MS法が、スクリーニング測定としてPY-GC/MS法がIEC-62321-8により規定されている。今回はJMS-Q1500GCを用いたPY-GC/MS法で、PYとGC ovenの温度条件を変更し迅速分析を試みた。その結果、1測定当たりのサイクルタイム14.75分を実現したので報告する。

PY-GC/MS法によるフタル酸エステル類の迅速分析

Figure1. Cycle time details

実験

測定試料は、フタル酸エステル類分析用認証標準物質PVC(産業技術総合研究所 NMIJ CRM 8152-a, 約0.1%)を用いた。この試料0.50mgをPY-GC/MSで測定し、フタル酸エステル類4物質のピーク分離および5回連続測定における面積値の繰り返し精度を確認した。Table1にPY-GC/MSの測定条件を示す。

Table 1. PY-GC/MS measurement conditions

PY
Sample weight 0.50mg
Furnace temp. 150°C→200°C/min→320°C(0.5min)
GC
Column ZB-1HT 15m length, 0.25mmi.d.
0.1μm film thickness
(Phenomenex Inc.)
Gas flow He 1.0mL/min, constant flow
Injection mode Split 1/50
Inlet Temp. 300°C
Oven temp. 80°C→50°C/min→200°C→25°C/min→350°C
MS: JMS-Q1500GC
Ion source temp. 250°C
Interface temp. 300°C
Ionization EI, 70eV
Measurement mode Scan m/z 50~600 with SIM
DIBP: m/z 149, 205, 223
DBP: m/z 149, 205, 223
BBP: m/z 91, 149, 206
DEHP: m/z 149,167, 279

※Bold: Quantitative ion

測定結果

TICクロマトグラムをFigure2に示す。フタル酸エステル類4物質は、問題なく分離できた。

PY-GC/MS法によるフタル酸エステル類の迅速分析

Figure2. TIC Chromatogram

次に、フタル酸エステル類4物質の定量イオンにおける抽出イオンクロマトグラム(EIC)をFigure3に示す。良好な検出感度が得られた。

PY-GC/MS法によるフタル酸エステル類の迅速分析

Figure3. Extracted Ion Chromatograms of phthalates in PVC

最後に、連続試行回数n=5における各測定試料の面積値をTable2に示す。各物質とも変動係数10%以下と良好な結果が得られた。

Table 2. Repeatability of area value

#1 #2 #3 #4 #5 Average Standard
deviation
CV%
DIBP 178051 168249 158209 157911 167761 166036 8359 5.0%
DBP 166170 150082 152769 142665 148792 152096 8695 5.7%
BBP 210573 212346 205639 205776 243147 215496 15735 7.3%
DEHP 110307 108873  97884  93277 102132 102495 7212 7.0%

結論

PY-GC/MS法で改正RoHS指令の規制対象となっている4種類のフタル酸エステル類の迅速分析を試みた結果、良好な検出感度と繰り返し精度に基づいたサイクルタイム14.75分のデータを得ることができた。

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