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BioMajesty™ の超微量分析への対応:超微量分析装置BioMajesty™ 検体前希釈機構の有用性

平成 13 年度四国臨床衛生検査技師会合同研修会 日本臨床検査自動化学会第 32 回大会・機器試薬セミナー での発表内容です。

平成13年度四国臨床衛生検査技師会合同研修会(会場:香川医科大学)シンポジウムで発表。

小児・新生児など著しく採血量に制限のある患者への対応や、新薬・ゲノムの機能解析等で利用される実験小動物(特にマウス/ラット)などの微量検体の検査に対応することを目的として分析条件の検討を行いました。BioMajestyに共通する検体前希釈機構を有効に活用し、サンプルカップ等の検体ロス量をすべて含み、僅か50µl血清で21項目の分析が可能となりました。

 

1. BioMajesty Series

JCA-BM 1250

800test+ISE450test

JCA-BM 1650

1200test+ISE450test

JCA-BM 2250

1800test+ISE450test

JCA-BM 9030

1200test+ISE450test
血球自動溶血機能

L-800(JCA-BM9010)

800test
(感染症項目)特殊洗浄機能

2. BioMajestyシリーズ各部の動きについて

動画で各部の動きを見ることができます。
ピペット
DPP洗浄
セル洗浄 攪拌

3. 今後の自動分析装置に求められるもの

  1. 経済性の強化
  2. 高速処理能力→保有台数減、迅速結果報告
  3. メンテナンス軽減→人件費節約
  4. 多機能化→免疫・感染症項目の測定→装置の集約化
  5. 小児/新生児など微量検体への対応



4. BioMajestyシリーズの免疫項目への対応

幅広いアプリケーション⇒免疫ラテックス専用機項目の対応

  • 希釈ターンテーブルによる検体前処理機能
  • 自由に選択できる検体前処理液
  • 湾曲し、不安定なタイムコースを追跡できる測光点
    BM1250 64ポイント、BM1650 98ポイント、BM2250 41ポイント
  • 免疫試薬ロット間活性を補正するIMA
  • 現行免疫専用機に匹敵するプロゾーンチェック機能
  • 希釈ターンテーブルを利用し、元検体不要の自動再検
  • 反応時間延長 BM1250 31分、BM1650/2250 21

5. 測光ポイントの比較

120sec Rate Assay 30sec Prozone Check

6. 不活性オイル、ACUA20による恒温糟メンテナンス軽減

熱媒体に比重の大きいACUA20を使用するメリット

  1. 温度勾配が少なく、気泡の付着が殆ど無い
    光路の安定化
    温度の均一化
  2. 水垢、異臭が無い
    恒温槽のメンテナンスは不要

7. 高精度データの提供

  1. 高精度ダイレクトモータ使用、回転反応器の静止誤差は1/2400mm
  2. ピペッティング時のキャリーオーバー低減
  3. セル残水 0.1ul
  4. 恒温槽に不活性オイル‘ACUA’使用、
    光路と反応液温度を安定化
  5. 回転往復同時攪拌で、反応液を均一化
  6. サンプルへの着液は原則として1回

8. BMシリーズのキャリーオーバー率

  • サンプリングプローブ

0.00052% 以下

  • 希釈プローブ

0.00013% 以下

  • 第1、第2試薬プローブ

0.000074% 以下

  • 希釈ディスク攪拌棒

0.00028% 以下

  • 第1、第2攪拌棒

各0.000067% 以下

  • セル残水

0.18ul

9. 希釈ディスクからの自動再検

自動再検は

サンプルターンテーブルからの再検(元試料)
希釈ターンテーブルからの再検(希釈済み試料)

が選択可能です。

  1. 分析試料(希釈後試料)
    ・分注量:2~25µL(0.1µLステップ)
  2. 自動再検
    ・再検検体:希釈ディスク上の1次希釈検体
    ・再検再希釈:1~75倍(項目ごと)
    ・再希釈液:生理食塩水(標準)、項目専用希釈液
    ・再検分析試料量:2~25µL(0.1µLステップ)

10. 超微量検体への対応(BioMajesty全機種共通)

希釈ターンテーブルの有効活用 特殊希釈条件

元検体の希釈倍率を大きくし、検体使用量を低減します。

【通常(5倍希釈)の条件では】
元検体:30µl + 希釈液:120µl = 希釈後検体:150µl
希釈後検体から各項目の分析に必要な分がサンプリングされます。

【特殊(10倍希釈)の条件では】
元検体:15µl + 希釈液:135µl = 希釈後検体:150µl
希釈後検体から各項目の分析に必要な分がサンプリングされます。

【特殊(25倍希釈)の条件では】
元検体:6µl + 希釈液:144µl = 希釈後検体:150µl
希釈後検体から各項目の分析に必要な分がサンプリングされます。

希釈ターンテーブルの有効活用 検体ロス量

JCA-BMシリーズでの検体ロス量の算出

【DTT(希釈用)セルロス量】
希釈後検体:150µl内 DTTセルのロス分35µlを差し引いた分115µl(2回サンプリング時は 150×2-35=265µl)が分析に使用できます。

【SPP(希釈後検体用)ピペットのロス量】
サンプリング毎に 3µlのロスが発生します。

【DPP(元検体用)ピペットのロス量】
基本的には希釈水で押し出すためロスはありません。

【検体カップのロス量】
BM純正カップのB型カップでは、公証値 50µl です。
(今回実測した結果約15µl:各号機ごとに実測の必要あり)

希釈ターンテーブルの有効活用 検討試薬一覧

項目 試薬メーカー名 試薬名 Lot.No.R1 Lot.No.R2
1 TP 関東化学 シカオートTP 1N1211 -
2 ALB 関東化学 シカオートALB 1L0211 -
3 AST 関東化学 シカリキッドAST 1R1281 1R1031
4 ALT 関東化学 シカリキッドALT 1Q0571 1R581
5 LDH 関東化学 シカリキッドLDH 1Q1251 1Q1261
6 ALP 関東化学 シカリキッドALP 1R0201 1Q0491
7 GGT 関東化学 シカリキッドGGT 1R0641 1S0521
8 CPK 関東化学 シカリキッドCPK 1Q0182 1P0142
9 AMY 関東化学 シカリキッドAMY-1R 1R0541 -
10 UA 関東化学 シカリキッドUA 1L1061 1M0961
11 Fe 関東化学 シカリキッドFe D0Y81 101111
12 Ca 関東化学 シカオートCa 1P0551 1P0542
13 ChE 栄研化学 EJ テスト ChE 栄研 14101 16102
14 CHO 栄研化学 エクディアL栄研CHO 16103 16104
15 TG 栄研化学 エクディアL栄研TG 15103 15102
16 HDL 協和 デタミナーL 220DAG 301CAG
17 CRE セロテック CRE-S 10701 10701
18 BUN ニットーボー N-アッセイBUN-L D135A A133A
19 CRP ニットーボー アッセイ TIA CRP G145A E151A
20 TBIL 和光 E-HRワコー DQ603 DP006
21 DBIL 和光 E-HRワコー EF317 DR187

希釈ターンテーブルの有効活用 分析条件一覧

JCA-BM1650 希釈分析条件一覧表(5倍・10倍・25倍)

項目 5倍希釈(µl) 10倍希釈(µl) 25倍希釈(µl) SV R1 R2
元希釈 希釈液 元希釈 希釈液 元希釈 希釈液 µl µl µl
1 TP 30 120 15 135 6 144 4 90 **
2 ALB 30 120 15 135 6 144 3 90 **
3 AST 30 120 15 135 6 144 20 90 30
4 ALT 30 120 15 135 6 144 20 90 30
5 LDH 30 120 15 135 6 144 9 80 20
6 ALP 30 120 15 135 6 144 4 80 20
7 GGT 30 120 15 135 6 144 10 90 30
8 CPK 30 120 15 135 6 144 9 80 20
9 AMY 30 120 15 135 6 144 7.7 100 **
10 UA 30 120 15 135 6 144 9 90 30
11 Fe 30 120 15 135 6 144 20 80 32
12 Ca 30 120 15 135 6 144 6 80 20
13 ChE 30 120 15 135 6 144 3.8 80 20
14 CHO 30 120 15 135 6 144 6.2 80 40
15 TG 30 120 15 135 6 144 4.6 80 40
16 HDL 30 120 15 135 6 144 5.4 90 30
17 CRE 30 120 15 135 6 144 6.7 80 20
18 BUN 30 120 15 135 6 144 13 80 27
19 CRP 30 120 15 135 6 144 20 80 15
20 TBIL 30 120 15 135 6 144 10 80 20
21 DBIL 30 120 15 135 6 144 10 80 20

【Total SV】201µl
【SPP ロス量】21×3=63µl
【DTT ロス量】35µl
【21項目分析時必要希釈後検体量(SV)】201+63+35=299µl

よって元検体を2回サンプリングします。

希釈ターンテーブルの有効活用 希釈条件別再現性一覧

JCA-BM1650 希釈条件別同時再現性一覧表(pool serum)
項目 5倍希釈(µl) 10倍希釈(µl) 25倍希釈(µl)
mean range C.V mean range C.V mean range C.V
1 TP 5.5 0.1 0.915 5.5 0.1 0.461 5.4 0.2 1.023
2 ALB 3.8 0 0.000 3.8 0 0.000 3.9 0.1 0.469
3 AST 88.9 2 0.506 93.5 2 0.611 107.8 5 1.144
4 ALT 107.1 1 0.323 107.5 1 0.473 116.3 4 1.067
5 LDH 125.9 3 0.819 125.8 3 0.783 125.1 15 2.588
6 ALP 173.2 4 0.447 170 12 1.529 176.1 27 2.984
7 GGT 45.8 1 0.827 46.2 2 1.229 42.5 5 3.597
8 CPK 76 4 1.360 74.9 5 1.744 72.1 23 5.832
9 AMY 102.6 1 0.491 103.3 2 0.670 104.4 6 1.295
10 UA 3.3 0.1 0.553 3.3 0 0.000 3.3 0.1 1.143
11 Fe 125.9 3 0.508 120.8 3 0.677 114.8 20 4.379
12 Ca 8.6 0.2 0.504 8.7 0.3 0.792 8.8 0.4 1.278
13 ChE 1484.3 36 0.727 1484.1 35 0.630 1493.5 45 0.792
14 CHO 115.3 2 0.464 115.9 3 0.743 118.6 5 1.304
15 TG 97.2 1 0.390 99.1 2 0.687 97 3 0.877
16 HDL 41 2 0.641 43.5 1 1.169 47.4 2 1.188
17 CRE 1.2 0.05 1.155 1.2 0.1 1.569 1.3 0.1 1.742
18 BUN 13.8 0.3 0.588 13.7 0.5 0.939 13.9 1.7 2.678
19 CRP 1.20 0.05 0.992 1.20 0.09 1.924 1.17 0.46 8.853
20 TBIL 0.4 0 0.000 0.4 0 0.000 0.4 0.1 4.527
21 DBIL 0.2 0 0.000 0.2 0 0.000 0.2 0.1 16.210

希釈ターンテーブルの有効活用 希釈条件別相関

酵素項目:ALP(JSCC)

X軸:標準機釈(5倍)
Y軸:10倍希釈
Y=0.977X-0.658
相関係数=0.9992

X軸:標準機釈(5倍)
Y軸:25倍希釈
Y=0.965X+0.783
相関係数=0.9966

脂質項目:HDL-C

X軸:標準機釈(5倍)
Y軸:10倍希釈
Y=1.022X-1.301
相関係数=0.9977

X軸:標準機釈(5倍)
Y軸:25倍希釈
Y=1.039X-2.414
相関係数=0.9954

免疫項目CRP(TIA)

X軸:標準機釈(5倍)
Y軸:10倍希釈
Y=0.987X-0.01
相関係数=0.9996

X軸:標準機釈(5倍)
Y軸:25倍希釈
Y=1.005X-0.243
相関係数=0.9983

希釈ターンテーブルの有効活用 サンプルカップロス量の実測

【B型サンプルカップのロス量確認】

10倍希釈条件で元検体のB型カップ分注量を 40・45・50µl とし 21項目の分析が n=10 すべてのカップで正常に行えた分注量から分析で使用された血清量を差し引き、その残りを実測ロス量としました。

40µlでは10サンプルのうち2サンプルのみ実測可能で、45・50µlでは10サンプル全てが正常に分析できました。

よって 45-15x2=15µl がB型サンプルカップのロス量となりましたが、機種ごとで変動が考えられますので実測を行うことが不可欠です。

(公証保証値:純正Bカップで 50µlです。)

希釈ターンテーブルの有効活用 サンプルカップロス量の実測

BioMajesty 純正B型サンプルカップ 左から
15µL 50µL 100µL の検体を分注。

希釈ターンテーブルの有効活用 まとめ

BioMajestyに共通する検体希釈ターンテーブルを有効に活用することにより、新生児など著しく採血量に制限のある患者への対応が可能です。

また、新薬開発・ゲノムの機能解析実験などで利用されるマウスなど実験小動物のスクリーニング検査などに有用であることが確認されました。 10倍希釈条件で21項目を分析する場合では、約1.4µl/項目と非常に微量な検体量で測定できる事が実証されました。

JCA-BM9030では、希釈ターンテーブルをHbA1cの検体前処理に応用するなど、希釈ターンテーブルにはまだまだ有効な使い道が隠されているように思います。

検体前希釈機構による5倍希釈(標準)、10倍希釈ではいずれの項目も精度良く測定できました。25倍希釈では一部の項目、特に実行感度の低い酵素項目を除いてほぼ満足できる結果が得られました。

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