RoHS指令を始めとする環境規制に関するJEOLの製品・サービス
RoHS指令
RoHS指令は、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令です。2003年2月にWEEE指令と共に公布、2006年7月に施行されました。 さらにRoHS指令は、2011年7月に大幅に改正され、全ての電子・電気機器に適用されることになり、またCEマーキングの対象指令になりました。RoHS指令を満たさない機器は欧州連合EU域内で輸入・販売することを禁止していますので流通が認められません。 電子・電気機器は部品点数が多大で、様々な材料・物質を使用していることから、環境や人体に悪影響を及ぼす恐れのある有害物質について、サプライチェーン全体を通して適切に分析・測定し、管理することが急務となっています。
2015年には改正RoHS指令の禁止物質にフタル酸エステル類が追加され、一部のカテゴリーを除き、2019年7月までに(医療機器ならびに、産業用を含む、監視及び制御機器については2021年7月までに)含有制限を順守しなければならないとされています。
【特定有害物質】
鉛
水銀
カドミウム
六価クロム
ポリ臭化ビフェニル(PBB)
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
フタル酸ブチルベンジル(BBP)
フタル酸ジブチル(DBP)
フタル酸ジイソブチル(DIBP)
カテゴリーNo. | カテゴリー名 |
---|---|
1 | 大型家庭用電気製品 |
2 | 小型家庭用電気製品 |
3 | IT及び通信機器 |
4 | 民生用機器 |
5 | 照明装置 |
6 | 電気電子工具 |
7 | 玩具、レジャー、スポーツ用品 |
8 | 医療機器 |
9 | 産業用を含む、監視及び制御機器 |
10 | 自動販売機 |
11 | 上記カテゴリーに入らないその他の電気電子機器 |
※赤字は改正RoHS指令にて追加された物質です。
JEOLのRoHS対応ソリューション
RoHS指令では均質とみなせる部材ごとに規制物質の含有を確認する必要があります。
含有の測定はスクリーニング分析と精密定量分析の2段階に分けられ、スクリーニング分析では蛍光X線法や熱脱着-GC/MS分析法が、精密定量分析では溶媒抽出GC/MS分析法などが用いられます。測定においてはターゲットとなる物質ごとに適切な分析法を選択する必要があります。 JEOLではスクリーニング分析に最も使用される蛍光X線分析装置と、PBBやPBDE、フタル酸エステル類の精密定量分析に威力を発揮するガスクロマトグラフ質量分析計を取りそろえ、RoHS指令に対応するソリューションをご提供しています。
RoHS指令に対応するには、サイレントチェンジ(知らぬ間に取引先に材料を変えられてしまうこと)などのリスクも含め、幅広い分析が必要になります。 JEOLは無機物とトータル臭素は蛍光X線分析装置、有機物はガスクロマトグラフ質量分析計で分析を行うというRoHS対応ソリューションをご提供しています。
またJEOLの蛍光X線分析装置、ガスクロマトグラフ質量分析計は共に汎用性が高く、RoHS10成分以外にも幅広い分析が可能です。
【特定有害物質】 | ||
---|---|---|
![]() JSX-1000S |
鉛 | × |
水銀 | × | |
カドミウム | × | |
六価クロム | × | |
ポリ臭化ビフェニル(PBB) |
![]() JMS-Q1500GC |
|
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) | ||
× | フタル酸ジイソブチル(DIBP) | |
× | フタル酸ジブチル(DBP) | |
× | フタル酸ブチルベンジル(BBP) | |
× | フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP) |
JEOLの環境規制対応装置のご紹介
JSX-1000S エネルギー分散形蛍光X線分析装置(XRF)
感度が向上し、従来装置よりさらにスループットが向上しております。
タッチパネルに対応し、より直感的に測定が行えます。
♦上のボックス内の再生ボタンをクリックするとムービーが始まります。 (約4分) ♦
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2次フィルター・サムピーク除去ソフトの豊富な機能により、鉄鋼中のPb/As等従来難しい分析も可能になりました。
錫めっき、ニッケルメッキに対応した、ソリューションソフトも提供しております。
最大9種(フィルターなし含む)のフィルターにより、全範囲で微量分析が可能です。RoHS以外の用途にもお使え頂けます。
ハロゲンフリーなど、他の環境分析にも対応しております。
JJMS-Q1500GC ガスクロマトグラフ質量分析計(QMS)

超高感度&高分解能分析に不可欠なプレフィルター
プレフィルターによる分解能や感度低下の抑制
フタル酸類スクリーニング測定は、サンプルが高濃度にあることを加えて熱分解長時間測定により分解能と感度低下を招きやすいです。
Qポールの先に付いているプレフィルターによりその分解能と感度低下の抑制に大いに役立ちます。
容易なメンテナンス
1.GCのメンテナンス
セプタムなどGC消耗品の交換が工具を使用しないでできます。

2.MSのメンテナンス
工具を使用せずにイオン源の取り外しとメンテナンスが可能です。
イオン源チャンバーの取りだし

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イオン源チャンバーの洗浄方法
- 綿棒にアルミナの粉を付けて磨く。
- 水に浸けて超音波洗浄機で10分洗浄する。
- アセトンに浸けて超音波洗浄機で10分洗浄する。
熱分解GC-MSを用いてのスクリーニング
IEC62321:2ndにて国際規格でRoHS対象の臭素化難燃剤2成分とフタル酸類4成分の一斉分析方法は規定されており、更にフタル酸エステルの詳細分析法(溶媒抽出-GC-MS法、熱分解GC-MS法)が検討されています。
熱分解GC-MS法は、秤量後の試料を昇温加熱し、特定の加熱温度帯で発生する添加物の含有成分を判定します。溶媒抽出等の煩雑で長時間の前処理工程が不要であるため、スクリーニングに適しています。
当社のGC-MSとオプションのパイロライザー(熱分解装置)と組み合わせることで、フタル酸エステルのスクリーニング分析が可能になります。
熱分解GC-MSを用いてのスクリーニング
Py/GC/MSでは、カッター等で試料の小片化を行い、試料量を秤量し、オートサンプラ―にセットするだけとなります。
約5分ほどで測定試料の準備は終了となります。

『フタル酸エステル類の定量』メソッドファイルによる測定手順の案内

定量結果
測定後、定量値と基準値に対する判定結果を得る事ができます。
このように一目で結果を確認する事ができ、しきい値も変更可能となっています。
測定条件と同様に解析に必要な条件ファイルは全てJEOLが準備いたしますので、どなたでも簡単に定量結果を確認する事が出来ます。

報告書
フォーマットを指定し、印刷していただければ、このような報告書を作成することができます。
これは一例ですが、それぞれの化合物毎の定量値と判定結果、規制フタル酸エステル類の定量値の合計値と判定結果、そして抽出イオンクロマトグラムも表示することができます。

関連資料
JSX-1000SとJMS-Q1500GCを使用したRoHS分析ソリューション(1.5MB)
TECHNOLOGY / CASE STUDY 技術・事例
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