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世界最高レベルの窒化物光デバイス研究を支える電極形成

INTERVIEW 19

名城大学理工学部 化学・物質学科
光デバイス研究センター センター長
竹内 哲也 教授

窒化物半導体を用いた青色面発光レーザー (VCSEL:Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser) と深紫外LED (Deep UV LED)。竹内研究室では、世界最高レベルの性能を持つ光デバイスの実現を目指し、研究を進めている。そのなかで欠かせない工程の一つが、デバイス作製の最終段階で行う電極形成だ。

竹内研究室では2013年、日本電子製の研究開発用電子ビーム蒸着装置「BSシリーズ」を導入。以来、面発光レーザーや深紫外LEDの電極形成に活用してきた。導入から10年以上にわたり研究を支えてきたBSシリーズの価値とは何か。竹内教授に、導入の経緯や研究現場での評価、今後の展望について伺った。

窒化物半導体から広がる、青色面発光レーザーと深紫外LEDの研究

竹内教授の研究室では、窒化物半導体を用いた光デバイスの研究を進めている。主な研究テーマは、青色面発光レーザー (VCSEL) と深紫外LEDである。

青色LEDの実用化によって窒化物半導体の可能性は大きく広がった。竹内教授は、その先にある新たな光デバイスの実現を目指している。現在は、より高性能な面発光レーザーや深紫外LEDの研究を進めるとともに、他分野との共同研究を通じた新たな応用可能性も探っている。

竹内教授は、「デバイスを作ることだけが研究ではありません」と話す。

「もちろん世界最高レベルのデバイスを作ることは重要です。しかし、それだけでは社会に広く使われる技術にはなりません。今後、『この光を使って何ができるのか』という応用まで含めて考えることが大切だと思っています。」

研究開発を止めない電極形成装置を求めて

光デバイスの性能を左右する重要な工程の一つが、電極形成である。竹内教授の研究室では、電子ビーム蒸着装置を用いて電極を形成しており、この工程の品質がデバイス全体の性能や再現性に大きく影響するという。

BSシリーズを導入する以前は、他社製装置を使用していた。しかし、研究を進める中で、安定した蒸着が難しいという課題を感じるようになった。

竹内教授は当時を振り返る。

「電極形成はデバイス作製の最後の工程です。そこがうまくいかないと、それまで積み重ねてきた結晶成長およびデバイスプロセスがすべて無駄になってしまいます。そのため、安定して蒸着できることが何より重要でした。」

こうした背景から、竹内教授は「安定して使い続けられること」を最も重視し、新たな蒸着装置の導入を検討することとなった。

研究室に適したサイズと拡張性が、BSシリーズ導入の決め手に

新たな蒸着装置を検討する中で、竹内教授が重視したのは、研究開発用途に適した装置であることだった。

研究室では、量産設備のような大型装置ではなく、研究テーマに応じて条件を変更しながら試作や評価を繰り返す。そのため、装置には高い安定性と、研究内容の変化に対応できる柔軟性が求められた。

BSシリーズを評価した理由について、竹内教授は次のように話す。

「研究室で使うには、大きすぎず、小さすぎないサイズがちょうど良かったですね。研究開発用として非常にバランスの取れた装置だと感じました。」

また、研究内容に応じて機能を追加できる点も大きな魅力だったという。

「研究というのは、『あれも試したい、これも試したい』という世界です。だからこそ、装置にはオプションや拡張性が必要だと思っています。」

こうした研究開発用途に適したサイズと拡張性が、BSシリーズ導入の決め手となった。

ボンバード蒸着源が支えた、アルミ電極形成と高反射率への取り組み

竹内教授の研究室では、2013年に1台目のBSシリーズを導入した後、2020年に2台目を追加導入している。

「最初に導入した装置では酸化膜形成用のオプションを付けていましたが、思ったほど使用頻度は高くありませんでした。そこで2台目は金属蒸着専用という考え方にしました。」

2台目の導入にあたって課題となったのが、アルミの蒸着レートだった。アルミは十分な反射率を得るために蒸着レートを高くする必要がある。

竹内教授は、ボンバード蒸着源の効果について次のように話す。

「アルミは蒸着レートを高くしないと、十分な反射率が得られません。その点では、ボンバード蒸着源は非常に効果があります。」

当初は、蒸着レートを高くできる抵抗加熱蒸着源の採用も検討していたという。しかし、日本電子と相談を重ねる中で、アルミを高速で蒸着する方法としてボンバード蒸着源の提案を受け、採用に至った。

研究テーマや材料に応じた技術提案を受けながら装置構成を検討できることも、研究開発の現場を支える重要な要素となっている。

壊れない装置が、世界最高レベルの成果を支える

研究開発では、装置の性能だけでなく、安定して使い続けられることも重要な要素となる。竹内教授は、BSシリーズを長年使用する中で、特に高く評価している点として「壊れないこと」を挙げる。

「研究室では、何かしら毎週一つや二つは装置が壊れるんです。蒸着装置やスパッタ装置は、特に真空系、つまり排気系が壊れやすいんです。ところが日本電子の装置は、本当に壊れません。」

装置が壊れれば、研究そのものにも影響が及ぶ。

「壊れると、『どう直すか』『いつ復旧するか』ということに、時間もお金も取られてしまいます。」

とりわけ、数多くの実験を繰り返す化合物半導体の研究では、装置が安定して稼働し続けることの意味は大きい。

「我々の研究は、実験をたくさん回してなんぼと考えています。青色面発光レーザーで世界最高効率を実現した際も、測定した素子数は、5個ではなく500個。このように数多く作製、評価することで到達できる世界です。」

大学の研究室では、教員だけでなく学生も装置を操作する。そのため、日常的な作業のしやすさも重要になる。

「蒸着装置にはチャンバー全体を持ち上げて開けるタイプもあります。これが結構大変なんです。でも、この装置は前面の扉を開くだけ。学生からも『非常に作業しやすい』と聞いています。」

実際、蒸着作業そのものは1~2時間程度。竹内教授によれば、装置の基本操作は教えながら3日ほどで覚えられ、1週間もあれば一人で使えるようになるという。オート機能が多いことも、学生が扱いやすい理由の一つだ。

【写真:クリーンルーム内で学生さんがBSシリーズを操作している様子】

また、装置そのものだけでなく、日本電子のサポート体制についても高く評価している。

「日本電子のサポートは非常に手厚く、定期的に『困っていることはありませんか』『何かありませんか』と声を掛けていただきました。私は『装置が壊れないので大丈夫ですよ』とお答えすることが多かったのですが、それでも継続してフォローしてくださるので、とても安心感がありました。」

こうした装置の安定性と継続的なサポートは、研究成果にもつながっている。

「これまでに世界最高レベルの性能を報告した論文を何報か発表させてもらいました。例えば、青色面発光レーザーにおける電力変換効率の世界最高値を2回報告しています。この成果は、BSシリーズを使って得られたものですし、2013年以降の光デバイスに関する研究成果には、すべてこの装置を使用しています。」

研究開発では、一つひとつの実験結果の積み重ねが成果につながる。装置が止まることなく日々の研究を支え続けることが、世界最高レベルのデバイス開発を支える基盤となっている。

光デバイスの未来へ、研究を支える装置に期待すること

窒化物半導体を用いた光デバイスの研究は、新たな応用分野へ広がりを見せている。竹内教授は、デバイスそのものの性能向上だけでなく、その光をどのように社会で活用していくかが重要になると考えている。

「若い人たちは、『面白いから研究する』だけではなく、『社会の役に立つか』という視点も非常に大切にしています。感染症の問題も身近に経験していますから、自分たちの研究が社会にどう役立つのかという意識は強いですね。」

研究テーマが広がる中、研究開発を支える装置にも、新たな技術や機能を柔軟に取り入れられることを求めている。

「研究テーマは時代とともに変わっていきます。研究開発用の装置だからこそ、新しい技術や新しい機能を柔軟に取り入れながら、長く使い続けられることを期待しています。」

さらに、できるだけ少ない材料で必要十分な面積をカバーできる、よりコンパクトな装置への思いもあるという。

BSシリーズは、竹内教授の研究室で十年以上にわたり研究を支え続けてきた。研究テーマが変化し続ける中で、装置にもまた、研究とともに進化していくことが求められている。

竹内 哲也 (たけうち てつや)

名城大学理工学部 化学・物質学科 教授/光デバイス研究センター センター長

企業勤務を経て、2010年に名城大学へ着任。青色LED研究の系譜を引き継ぎ、面発光レーザー (VCSEL) と深紫外LEDの研究に従事。世界最高レベルの性能を持つ光デバイスの実現を目指し、研究開発を進めている。

製品情報

BS series 研究開発用 電子ビーム蒸着装置

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