マイクロクリスタリンワックス(石油ワックス)のタイプ分析
MS Tips No.100 本試料の測定に際し、試料のご提供を頂きました長岡科学技術大学 河原 成元 准教授に深謝いたします。
石油ワックスとは、常温でろう状固体の炭化水素類であり、日本工業規格 (JIS K2235) により、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの3種に大別されています。このうちマイクロクリスタリンワックスは主として炭素数 30~60 程度の炭化水素類を含み、その分子量は 500~800 程度です。またパラフィン類の他、イソパラフィン類やシクロパラフィン類を多く含んだ微結晶のワックスです。FD (Field Desorption) 法は試料をエミッター上に塗布し、エミッターに電流を流すことで塗布した試料を加熱し、エミッター表面やウィスカー先端近傍の高電界におけるトンネル効果を利用したイオン化法です。FD 法は、フラグメンテーションが起こりにくく、分子イオンの情報のみを与えるソフトなイオン化法として、難揮発性化合物や高分子ポリマー等の測定に用いられてきました。今回 JMS-T100GC “AccuTOF™ GC” にてマイクロクリスタリンワックスの FD 測定を行い、観測されたイオンの質量と強度からタイプ分析を実施しましたので、その結果について報告します。
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