らせん状のイオン軌道を利用した MALDI-TOF/TOFの開発
日本電子News Vol.42, 2010
佐藤貴弥
日本電子(株) MS事業ユニット
我々は、らせん状のイオン軌道をもつイオン光学系の開発を行った。これは、現在多くの市販装置に利用されているリフレクトロン型イオン光学系の基本性能を超える、新規のイオン光学系である。また、らせん軌道型イオン光学系を第1TOFMSに、オフセットパラボリックイオンミラーを利用したリフレクトロン型イオン光学系を第2TOFMSにした、MALDITOF/
TOFを開発した。この装置は、らせん軌道型イオン光学系由来の特長を有し、従来装置にはない高質量分解能や高プリカーサイオン選択能を実現できる。マススペクトルでは, m/z 2093にて質量分解能60,000(FWHM)以上を観測すると同時に幅広い質量範囲にて高質量分解能を達成できることを示した。また、高プリカーサイオン選択能により、プリカーサイオンのモノアイソトピックイオンのみを選択可能であり、各開裂経路を示すピークを、プロダクトイオンスペクトル上でそれぞれ1つのピークとして観測することができる。その結果、プロダクトイオンスペクトルの解析がより明確となることを示した。
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