極低温測定アタッチメント − 液体He温度可変装置 ES-CT470
ER080003
ESRは、試料温度を低温に設定するほど高感度測定ができるという特徴があります。これは、磁場中で生じるゼーマン分裂が熱平衡にあり、2つのスピン副準位に分布するスピンの割合の差が低温で大きくなるからです。また、物質によっては、スピン−スピン緩和時間(T2)が短いために室温では測定できないものもあります。こうしたケースでは、低温測定用アタッチメントが有効です。ここでは液体Heを用いるES-CT470をご紹介します。
写真は、マグネット本体にCT470を設置し、更に液体Heデュワーを接続したものです。本システムの特徴を以下にあげました。
- セットアップが簡単
設置時間約20分 - 冷却が速い
約15分で4.5Kに到達 - 温度安定性が高い
±0.01K (2.5~4.2K)
±0.5K (4.2~470K) - 液体Heを背後から供給
マグネット前部が空き操作性が良い
装置前面に光照射装置を設置でき有効な光照射が可能 - 試料交換が簡単

ES-CT470 設置状態(デュワーは構成に含まれません)
図は、ガラス中のFe3+スペクトルの温度依存性を示したものです。このように、キュリー則に従う常磁性物質では信号強度は絶対温度に反比例し増加します。特に、天然物由来成分のように大量採取が困難な試料では、本アタッチメントは強力な武器となります。また上述のように、金属錯体には緩和が速い試料が多いため、極低温測定を必要とする場合があります。お手持ちの試料で充分なスペクトルが得られない場合、ES-CT470での測定をご検討されてはいかがでしょうか。

Teperature Deendence of 3+Signal
