ESRによるビールの香味安定性評価のご紹介-その3-
ER160004
香味安定性評価とESRの関係
- ビール内で反応がおこるとフリーラジカルが発生する (酸素分子が起源)
- 時間経過による酸化の度合いはフリーラジカル量に反映される
- Lag timeは、抗酸化力に関係している
- 抗酸化作用が強いほど、風味が長持ちする (品質保持時間は長くなる)
ビールの品質を低下させる要因は、時間・温度・光・酸素などが考えられ、これらの影響を受けて風味・香味が失われるとビールは美味しくなくなります。
ラジカル生成量の時間変化②
ビールB、C を開封直後と開封後一日おいたときの試料を用いて、60度程度での強制酸化を行った結果を図1に示します。開封直後のラグタイムは、ビールB が18min、ビールC が66 minとなり、ビールによって、ラグタイムの差があることがわかります。これは、ビールCの方が、ビールBより抗酸化作用が強く、香味安定性が良いことを示しています。開封後一日おいたときのラグタイムは、ビールBは飽和曲線となり測定が不可能なのに対し、ビールCは67 minと開封直後と同等の結果が得られています。これは、ビールが開封されて、時間が経つことにより酸化劣化が進むため、ビールBはその影響を受けて、ラグタイムを測定できないほど、劣化が進行したことを示しています。それに対し、ビールCは、開封して一日経っているにもかかわらず、ラグタイムに変化が見られませんでした。このことから、香味安定性が長持ちしていることがわかります。さらに、ビールCを開封して10日後にも測定したところ、ラグタイムは26 minとなりました。このことからも、ビールCは、開封から10日経ってもある程度、抗酸化力を維持していることがわかります。
(A) 開封直後のビール


(B) 開封後一日おいたビール


図1. ビールのラジカル生成量の時間変化
※ESRによるビールの香味安定性評価は、アプリケーションノートの ER-160002 をご参照ください。