材料のESR - 電気検出磁気共鳴 ④ -
ER180001
半導体のEDMR現象をご理解いただくために、代表的なメカニズムとされるスピン依存の再結合モデル(SDR:Spin Dependent Recombination)をpn接合ダイオードを例としてご紹介します。
EDMR 現象のメカニズム
代表的なメカニズムとされるスピン依存の再結合モデル(SDR:Spin Dependent Recombination)[1]をpn 接合ダイオードを例としてご紹介いたします。
- pn 接合ダイオードに磁場中で順方向に電圧をかけると n 型層と p 型層の電子とホールはふらふらと移動して、接合面にて接近します。
- 接合面に再結合中心(不純物準位)の電子スピンが存在すると n 型層から接近してきた電子と一時的にペアになります。
- この状態でESR 共鳴が起きると、n 型層から接近してきたスピン、または再結合中心のスピンのどちらかの向きが反転します。
- そのスピンは p 型層から接近してきたホールと結合することで消滅します。消えた電子やホールを穴埋めするため背後から電子やホールが次々と流れ込むため、その周辺で電流 I が流れます(再結合電流) 。
再結合電流が流れるとキャリア濃度が低下するため電気伝導度も低下します。この一連の変化が EDMR が信号として観測されます。pn 接合ダイオードについてはアプリケーションノート ER170009 をご参照ください。

図1. EDMRのメカニズム
参考文献
[1] D. Kaplan, I. Solomon, N. F. Mott, Explanation of the large spin-dependent recombination effect in semiconductors. J. Physique Lett. 39, 51-54 (1978) DOI: 10.1051/jphyslet:0197800390405100
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