電解ESR – 電解時間と電圧依存性 –
ER180012
電解ESR
電解ESRは、試料に電圧をかけて、電解還元(または酸化)して生じるラジカル、または常磁性の遷移金属イオンのESRを検出する手法です。電解セル(ES-EL30)を用いることで、キャビティ内部で試料を電解還元(または酸化)して生じるラジカル種、または常磁性の遷移金属イオンのESRを in situ で測定することができ、不安定なラジカルの検出にも有利です。
電解ESRには、ヘリックスコイル形電極電解セル(ES-EL30)を使用しました。このセルに関しては、アプリケーションノート ER090001 をご参照ください。
電解時間と電圧依存性
試料は、下記試薬を混合して作成しました。
- 試料:
アントラキノン 2mM - 支持電解質:
テトラプロピルアンモニウムブロミド 100mM - 溶媒:
アセトニトリル
試料に電圧を1.3~1.5VかけたときのESR信号の時間変化を観察しました。電解ESRによって得られたESR信号の中央の信号強度を用いて(図1のA)、横軸に電解時間、縦軸にESR信号強度を図2に示しました。電圧を上げることにより、短時間でラジカルの発生を確認でき、電解時間と共にESR信号強度が増大することがわかります(図2)。1.35、1.4Vでは、電圧を30分間程度かけ続けると、ESR信号がほぼ飽和しています。
この実験によりわずかな電圧の違いで反応速度が大きく異なることがわかります。
図1. アントラキノンアニオンラジカルのESR信号(電圧:1.3V)
図2. 各電圧でのESR信号強度の時間変化
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