電解 ESR – p-Benzoquinone アニオンラジカルの生成 -
ER190008
電解 ESR セルの概要
溶液中の電気化学反応により、反応物の 1 電子の酸化あるいは還元が起きた際の反応生成物を ESRでとらえようとする試みは無機・有機化合物に応用されてきました。 電解 ESR には、ヘリックスコイル形電極電解セル(ES-EL30)を使用しました。 これは電解還元(または酸化)を行いながら ESR 測定を行うセルで、陰極の金線をコイル状にすることで電極有効面積を大きくして、かつマイクロ波の吸収を抑えています。 この電解セルの詳細は、アプリケーションノートER090001 をご参照ください。 電解セルは、電解効率が高く、アニオン、カチオンラジカルの生成が比較的容易にでき、温度変化も観測することができます。
p-Benzoquinoneアニオンラジカルの生成
試料は、下記試薬を混合して作成しました。
ラジカル剤: p-Benzoquinone (C6H4O2) 1 mM支持電解質 : テトラプロピルアンモニウムブロミド 100 mM
溶媒 : ジメチルホルムアミド
図1. p-Benzoquinone の構造
電解セルの二電極間に定電圧をかけ、テスターにて電流量を測定しながら、電解状態での ESR を観測しました。試料に 1.0V の電圧を約17分間をかけると、 分裂幅が 0.24 mT、信号強度比が 1:4:6:4:1 の 5 本線が観測されました。これはリング上の 4 つの H が等価であるp-Benzoquinoneアニオンラジカル(BQ−・)が生成したことを示しています[1]。
図2. p-Benzoquinone アニオンラジカルの ESR 信号(電圧:1.0V)
参考文献
[1] H.Park et al, In-Situ ESR Detection of Radical Species of p-Benzoquinone in Aqueous Media, Electroanalysis, 14, No21, 1501-1507(2002).
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