材料のESR−ゴム (1)
ER200004
ゴム
ゴムはその材質ごとに特徴や用途があり、製品の部品として幅広く利用されています。柔らかく、よく伸びて、弾力性があり、絶縁・導電・半導電性を備えています。ゴムは大きく分けて天然ゴムと合成ゴムがあります。合成ゴムは、天然ゴムに似た性質をもち、耐熱・耐油・耐薬品・耐摩耗性などをもつ高分子化合物です。ゴムの短所は、経時変化があり、切削などの加工がしにくい、再利用が難しいことが挙げられます。
ゴムの劣化
ゴムは、光、熱、オゾン、油、圧力、水、薬品などによって劣化します(図1)。一般的には『熱に弱い』とされており、常温やそれより低い温度などでその機能性を発揮します。図2のように、ゴムの分子鎖が熱を吸収すると運動が活発化し、最終的に架橋構造が破壊されてしまい、その結果劣化します(図2)。
図1.劣化の要因
図2. 熱によるゴムの劣化
ゴムのESR信号
市販のゴム(6種類)を切断して、それらを5φの試料管に挿入し、室温にてESR 測定を行いました。図3に観測されたESR信号を示します。天然ゴムからは、複数のESR信号が観測されました。マンガン由来と考えられるシャープな6本線とブロードな線形のESR信号が確認できます。アメゴムからは、室温では顕著な信号は観測されませんでした。クロロプレンゴムからは、g=2.003付近を中心にシャープな信号とブロードな信号が観測されました。フッ素ゴムからは、g=2.003付近にシャープな信号とブロードな信号、そして小さいですがマンガン由来と考えられる6本線も観測されました。シリコンゴムからは、室温では顕著な信号は観測されませんでした。導電性ゴムからは、g=2.052 付近を中心にブロードな信号が観測されました。ゴムの種類によって、室温にて様々な ESR 信号が観測されることが分かります。






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