デュアルモードキャビティー (ES-14040DMC) のご紹介
ER210003
デュアルモードキャビティー (ES-14040DMC) が ESR 製品のラインナップに新たに加わりました (図1)。
本キャビティ—では、従来の垂直モード検出に加えて、外部磁場 (B0) に対して平行方向にB1を照射しながら ESR 遷移を観測する平行モード検出が可能です。平行モード検出を利用することでスピン遷移に関わる選択則が変化するため、ESR観測が困難とされてきた三重項 (S=1)、整数スピン系、遷移金属イオン等における禁制遷移の検出が期待されます。
主な仕様
- 磁場変調周波数:10 kHz (外部変調方式)
- 最大磁場変調幅:1 mT
- 垂直モード
共振モード:矩形 TE102
共振周波数:9.60 GHz
Q値:10,000 - 平行モード
共振モード: 矩形 TE012
共振周波数: 9.45 GHz
Q値:8,000

図1. デュアルモードキャビティー
測定例
MnO(S=5/2、I=5/2)の室温でのESRスペクトルを示します。垂直モードでは、よく知られた Mn2+の6本の等強度の許容遷移が観測されています (図2(A))。これに対して、平行モードでは強度の異なる5本線 (*印) の遷移が主として検出されているほか、垂直モードで観測された6本線も僅かに確認されます (図2(B))。
このようにデュアルモードでのESR検出により、スピン遷移を許容/禁制の両面から見直すことで、測定対象の新たな側面が見えてくる可能性があります。

図2. MnOの垂直 / 平行モードのESRスペクトル
(A) 垂直モード (共鳴周波数:9,593 MHz) (B) 平行モード (共鳴周波数: 9,454 MHz)- このページの印刷用PDFはこちら。
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