NMRを用いた混合物の分析-多変量解析の応用
NM140003
前処理なしに混合物を分析する
NMRには、検体をそのままの状態で見ることができる、という特徴があります。複雑な前処理が要らないので、効率の良い一次スクリーニングに適しています。
近年、混合物の分析にNMRがよく用いられるようになってきました。その分析方法の一つが多変量解析です。単離せず、スペクトルの解析もせずに、混合物まるごとを見るパターン認識法です。パターン認識には、主成分分析(PCA)や、分類法の一種のSIMCA法などが大変有効です。多検体の測定データを統計処理することで、検体の特徴を抽出し、分類することができます。
NMRを用いた多変量解析の応用範囲は、混合物系全般です。以前は医学・薬学系で主に用いられていましたが、最近は材料系へと適用範囲が広がってきています。食品分野においても、品質管理などの分析方法として力を発揮します。
食品への応用例:だし
1H-NMRデータの主成分分析によるだしの分類
サンプルは、煮干の粉末、和風だしの素(うまみ調味料含有のものと無添加のもの)、洋風スープの素と、コントロールとして、うま味調味料です。洋風スープの素は、原材料にうま味調味料を含んでいます。うま味調味料の主成分はグルタミン酸ナトリウムです。うま味調味料を含有する製品の原材料の表記では「調味料;アミノ酸等」となっています。
NMRデータを主成分分析すると、上記の種類毎に5つのグループに分かれました。さらに、原材料にうま味調味料を含むか含まないかで、大きく2つのグループに分類できました。