定量NMRにおける装置バリデーションの提案
NM150006

定量NMRの結果に与える装置パフォーマンス例: S/Nと分解能

Fig. 1 信号のS/Nと積分値の繰り返し精度(SD)
Fig.1は信号のS/Nとその積分値の精度(SD:標準偏差) を理論的に計算したものです。SDは100回繰り返し積分取得をした時の結果です。 結果より積分精度はS/Nに大きく依存し、例えば1%以下の積分精度を得るにはS/N100以上必要であることがわかります。
S/Nは分解能にも影響します。Fig2はqNMR測定を行うための サンプルの例です。定量基準であるBTMSBのS/Nを比較すると分解能が低下している場合、S/Nが約1/3になっています。
もともとS/Nが低い信号を定量分析の対象とした場合には分解能の要因だけで、より顕著に分析結果に大きな影響を与えている可能性があります。

Fig.2 分解能の違いによる、S/Nの比較
qNMR測定用サンプル:分析対象ビンクロゾリン、定量基準1,4-BTMSBd6 重DMSO溶液
定量NMR よくある疑問・・
- これから定量NMRを行うけど、自分の装置でどのくらい精度がでるのかな?
- いつもと変わりなく装置パフォーマンスが維持できているかな?
- いつもと結果が異なるけど、何が原因だろう。装置は大丈夫かな?
など
定量NMR測定時における日常点検の提案
手順例- サンプルの確認
- 毎回同じサンプルで行うこと
- 分析対象物と定量基準が入っていること
- 分析対象物と定量基準物質は、SIトレーサビリティがとれているなど信頼性を有していること
- 溶液で安定であること
- 分析手順の確認
- 測定メソッドはバリデーションがとれていること
- 分析結果の確認 (日本薬局方 システム適合性参考にした場合)
- サンプル3検体 繰り返し3回測定 or 繰り返し6回測定
- 検出の確認 S/N > 100
- システムの適合性 分子内積分比<1
- システムの再現性 面積比の相対標準偏差 <1%
など

JEOLでは装置診断、定期点検においても定量NMRに関するメニューを提案いたします。お気軽にお問い合わせください。