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固体NMRを用いた混合物のスペクトル分離

NM180015

図1はL-Histidineと L-Histidine Hydrochloride Monohydrateの混合物を溶液状態および固体状態で測定したNMRスペクトルです。 溶液状態では1種類のスペクトルしか観測されませんが、固体状態で測定するとそれぞれの結晶状態を反映したスペクトルが観測されていることがわかります。このように固体NMRでは溶液状態にしてしまうと失われてしまう結晶状態での情報を得ることができます。

図1 上段:各試料10mgをD2Oに溶解させて測定した溶液<sup>13</sup>C NMRスペクトル / 下段:各試料を混合させた固体13</sup>C NMRスペクトル
図1
上段:各試料10mgをD2Oに溶解させて測定した溶液13C NMRスペクトル
下段:各試料を混合させた固体13C NMRスペクトル

固体NMRのROSY法は混合物をそのままの状態でスペクトル分離できる手法です。図2では実際にROSY法を用いることでL-HistidineおよびL-Histidine Hydrochloride Monohydrate のそれぞれの1H緩和時間の違いを利用して各成分のスペクトルに分離しました。このように、ROSY法は混合物の解析に有用な手法であることが分かります。

図2 :ROSYスペクトル
図2 :ROSYスペクトル

ROSY法とは

ROSY(Relaxation Ordered SpectroscopY)1)は混合物中の各成分の1H緩和時間の違いを用いてCPMASスペクトルを分離する解析手法です。固体NMRでは溶液NMRと異なり、通常は各化合物ごとに単一の1H緩和時間を持つため、それぞれの化合物のT1が大きく異なる 場合に適用できます。

きれいなROSYスペクトルを得るためには

超高速MASにより1H信号が先鋭化し1Hのスピン拡散が抑制されると1H緩和時間が均一ではなくなるため、超高速MAS下ではROSY法はうまくいかないことがあります。そのため10kHz程度のMAS speedで測定し、SSBはTOSSによって低減させるほうがきれいな スペクトルが得られやすくなります。

試料:L-Histidineおよび L-Histidine Hydrochloride Monohydrateの混合物
使用装置:JNM-ECZ500R 5mmSuperCOOL(溶液), 3.2mm HXMAS(固体)

参考文献

1) Y. Nishiyama, M.H. Frey, S. Mukasa, H. Utsumi, J. Magn. Reson. 202(2010) 135.

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