ED/WD Integration System ~白丸鉱山産出試料より東京石(tokyoite)の比定~
XM2019-04
東京石(tokyoite): 奥多摩白丸鉱山跡
東京都奥多摩町にあった白丸鉱山跡には、マンガン鉱物を含む露頭の一部が残存しています。
露頭は普段はダムの底に水没しており、十数年に一度ダムの放水が行われる際にだけ姿を現します。この露頭からは、過去にいろいろな新鉱物、特にバリウムやストロンチウムを主成分とするケイ酸塩、炭酸塩鉱物が産出しました。
東京石はこの白丸鉱山跡から最初に発見され、2003年に新鉱物として認定されました。理想的な化学組成はBa2Mn3+(VO4)2(OH)であり、同じ含水バナジン酸塩鉱物のガマガラ石(gamagarite)[Ba2(Fe3+,Mn3+)(VO4)2(OH)]に似ていますが、Feに比べてMnが大きく卓越しているところに違いがあります。
本稿では、2016年に白丸ダムが放水された際に採取された試料から、ED/WDインテグレーションシステムおよび相分析によって東京石を比定した例を紹介します。

EDSによる面分析の特徴
- 多元素同時分析
- 分析後に元素マップを再構築可能
- 試料の高低差の影響を受けにくい

WDSによる面分析の特徴
- 高感度
- 高いエネルギー分解能

散布図解析による相分析

散布図から元素濃集部を任意に選択して相マップを作成できます
高速クラスター分析(HSCA)

自動判定された1枚の相マップを作成可能です
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