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光照射による水素引き抜き反応で生じるラジカルの観測 (ダイレクト測定例)

ER220007

水素引き抜き反応は、多くの有機化合物の劣化・分解の引き金になると考えられています。この時、水素は原子状態 (水素ラジカル) で引き抜かれるため、母化合物は図1のようにラジカル化します。

図1 有機化合物からの水素引き抜き反応

 

水素ラジカルは極めて短寿命であるため観測はできませんが、母化合物由来ラジカルは比較的安定な構造を取り、ESRで計測可能な場合があります。ここでは Isopropyl Alcohol (IPA) を用いて、光照射による水素引き抜き反応の結果生じたIPAラジカルを測定した例を示します。

 

左図の反応が生じると想定されます。
IPAを扁平セルに採取して、水銀キセノンランプを照射しながら測定を行いました。

測定条件

  • ESR装置: JES-X320、測定磁場: 337.8±7.5 mT、変調磁場幅: 0.07 mT、掃引時間: 10 s、時定数: 0.01 s

  • マイクロ波出力: 1 mW、積算回数: 120、温度:室温

  • 紫外線照射装置: ES-13080UV2Aをキャビティに接続し連続照射 出力: 50%

約20分間の照射測定で、上図の上段に示したスペクトルが得られました。これは、IPAラジカルの2個のメチル基の等価な水素6個による7本の分裂 (信号強度比:1: 6 : 15 : 20 : 15 : 6 : 1) が、更に-OHの水素により2本に分裂したことを示しています。
別途Mnマーカーと同時測定したスペクトルから磁場補正を行って求めたg値およびA値を元にシミュレーションして得られたスペクトルを下段に示しました。両者はよく一致しており、IPAラジカルが光照射による水素引き抜き反応の結果生じた炭素中心ラジカルであることが確認できました。

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