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二次電子だけじゃない!発光情報も捉える新しい低真空ハイブリッド二次電子検出器 

MP2025-02

はじめに

低真空ハイブリッド二次電子検出器は、新たに光信号から二次電子像を形成することができるようになり、低真空二次電子像のライブ像質が大きく向上した。また、モードを切り替えることにより、電子線照射による試料発光信号 (カソードルミネッセンス:CL) 由来の像を得ることができる。 これにより、結晶欠陥や極微量の不純物由来のコントラストが得られ、今までにはない観察や分析を行うことができるようになった。 

低真空ハイブリッド二次電子検出器 (LHSED)

低真空ハイブリッド二次電子検出器は、電子信号だけでなく、光信号も取得することができるようになった。 

図1

図1 LHSEDの信号取得原理図 

表1 LHSED 3つのモード

モード LSED-E LSED-P PD
真空モード 低真空 低真空 低真空・高真空
電極板 電圧印加 電圧印加 電圧印加なし
信号 二次電子
(二次電子からの励起)

(試料からの直接励起)
情報 凹凸情報 凹凸情報主体
(発光情報わずかながら含む)
発光情報
詳細 試料から放出された電子がガス分子と衝突することで発生した二次電子を取得 試料からの二次電子とガス分子が衝突した際に発生したを取得 一次電子線の照射により、試料から直接励起されたを取得

低真空二次電子のライブ像質が大きく向上 

励起光を取得することによって、ライブ像質が向上し、操作性が良くなった。 

図2 左:従来の低真空二次電子検出器、右:低真空ハイブリッド二次電子検出器LS (ED-P)

図2 名刺紙の低真空二次電子像。加速電圧5 kV、倍率x30,000、スキャン時間0.15秒

LHSEDでの発光情報の取得 (PDモード) 

試料に電子線を照射すると、様々な信号が発生する。電子ビーム照射によって固体内の電子が励起され、その電子が正孔と再結合するとき生じる発光をカソードルミネッセンス (CL) と呼ぶ。この信号を取得することによって、材料中の結晶欠陥等の構造を調べることができ、半導体や鉱物等の分析に応用できる。 

図3

図3 電子線照射時に発生する様々な信号

図4

図4 CL発光の模式図
CLは、伝導帯に励起された電子あるいはトラップ準位にある電子が価電子帯の正孔と再結合する際の余剰エネルギーとして発生する。

図5

図5 PDモードの信号取得図

図6 上段:(a) SEMでの二次電子像と発光像 、下段:(b) CL検出器*でのクロスチェック結果

図6 LED破断面におけるLHSEDとCL検出器での発光情報の比較
*使用したCL検出器:堀場製作所製CL検出器 F-CLUE

LHSE PDモードを使用した応用事例

Zn粒子中のZnO粒子判別

酸化物には、電子線照射によって発光するものがある。酸化物を見分けるには、通常元素マッピングが必要だが、PD像を取得すれば、短時間で酸化物の位置を特定することができる。

図7 左:反射電子像、中央:PD像、右:O-K 元素マッピング

図7 Zn粒子とそれに含まれるZnO粒子のSEM像とOの元素マッピング像
加速電圧:10 kV、倍率:x3,000

モンタージュ機能と組み合わせることにより、広領域の酸化物分布を把握することができる。異物分布の素早い把握に役立つ。 

図8 左:反射電子像、右:PD像

図8 Zn粒子とZnO粒子のモンタージュ像。加速電圧 5 kV、1視野倍率x3,000、観察範囲0.852×0.314 mm

鉱物の結晶成長縞と結晶欠陥観察

ジルコン (ZrSiO4)

ジルコンは結晶成長時に発生する欠陥や不純物由来のコントラストが見られる。それは、結晶の"年輪"の役割を果たし、成長ステージの分析に役立つ。

図9 左:反射電子像、右:PD像

図9 ジルコンのSEM像。加速電圧10 kV、倍率x400

ダイヤモンド

結晶成長時の欠陥や不純物由来の情報が取得できる。

図10 PD像

図10 ダイヤモンドのPD像。加速電圧5 kV、倍率x2,500

窒化ガリウム基板の転位観察

パワー半導体として用いられる窒化ガリウム (GaN) 基板は、今日の生活に欠かせない材料となっている。基板中にある転位はデバイス不良に直結するため、これを管理する検査は非常に重要でる。

図11

図11 窒化ガリウム基板の断面模式図

転位 (dislocation) とは?

結晶内部にすべりが起きたとき、すべりの境界面を転位 (線) という。転位の周囲結晶は歪みが大きく、半導体の電気的特性や金属の耐食性にも影響を及ぼす。 

図12

図12 (a) 結晶のすべり変形(左画像)と (b) 転位(右画像)

反射電子像では一様のコントラストだけれど、PD像なら
GaN基板の転位を確認できる!(黒い点が転位)→二値化して、転位面積を算出

転位面積:491.52 μm2
視野に対する転位の割合:30.83%

PD像と画像解析ソフトウェアを組み合わせて、
GaN中の転位面積や転位密度の検査に応用ができる。

まとめ

新開発の低真空ハイブリッド二次電子検出器 (LHSED) は、残留ガス電離時の励起光を取得することにより、低真空二次電子のライブ像質が大きく向上し、操作性が良くなった。
また、LHSEDは信号の切り替えにより、二次電子像だけでなく、発光像も取得でき、定性的に発光情報を瞬時に捉えることも可能である。それにより、専用のCL検出器の一部代用としても使うことができる。

 

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