Close Btn

Select Your Regional site

Close

トラップ型ヘッドスペース-GC-MS法による塩化ビニルを含む揮発性有機化合物(VOC)の分析 [GC-QMS Application]

MSTips No.267

2016年に改正されたJIS K 0125では、用水・排水中の揮発性有機化合物(VOC)の試験法として、トラップ型ヘッドスペース(HS)-GC-MS法が新たに追加された。トラップ型HS法はトラップ管の濃縮効果による感度向上が期待できるほか、JIS K 0125においてはサンプル加温時間が従来型HSで30分以上だったのに対し、トラップ型HSでは15分以上と記載されており、分析時間の短縮も期待できる。今回はトラップ型HSサンプラーMS-62070STRAPを四重極型質量分析計JMS-Q1500GCに接続し、塩化ビニルを含む水中VOCの分析を行ったので報告する。なお同様に1,4-ジオキサンを含む水中VOC分析も可能である。MSTips 268 

実験

検量線用標準サンプルとして、塩化ビニルを含むVOC各成分の濃度が0.05、0.1、0.5、1、5、10、50μg/L、内部標準物質として塩化ビニル-d3、フルオロベンゼン、p-ブロモフルオロベンゼンの各濃度が2μg/Lとなるように調整した水溶液を用いた。HS-GC-MSの測定条件をTable1に示す。MS-62070STRAPはトラップ型HSのほかに従来(ループ)型HSにも対応しており、今回の測定では両者の感度比較も行った。

Table 1. Measurement conditions of HS-GC-MS

HS
Sampling mode Trap / Loop (※Only 5 μg/L)
Sample temp. (time) 70°C (15min)
GC
Column InertCap AQUATIC (GL Sciences Inc.)
60m × 0.32mm i.d., Film thickness 1.4μm
Injection port temp. 200°C
Oven temp. program 40°C(2min)→10°C/min→200°C(3min)
Injection mode Split 5:1
Carrier gas He, 2mL/min, Constant flow
MS
Ion source temp. 250°C
Iterface temp. 200°C
Ionization mode EI
Ionization energy 70eV
Ionization current 50μA
Measurement mode SIM
Relative EM voltage 400V(start~11min)
300V(11min~end)

結果

濃度5μg/Lについて、トラップとループのTICCをFigure1に示す。両者の感度差はおよそ10倍程度であることが確認できた。また、分析時間に関しても、1検体あたり25分に短縮できた。

Figure1. Chromatograms

Figure1. Chromatograms

塩化ビニル

塩化ビニルの濃度0.05μg/LのEICと濃度0.05~50μg/Lの検量線をFigure2に示す。良好なピーク形状および直線性を確認できた。

Figure2. EIC chromatogram and calibration curve of Chloroethylene

Figure2. EIC chromatogram and calibration curve of Chloroethylene

四塩化炭素

四塩化炭素の濃度0.05μg/LのEICと濃度0.05~50μg/Lの検量線をFigure3に示す。良好なピーク形状および直線性を確認できた。

Figure3. EIC chromatogram and calibration curve of Carbontetrachloride

Figure3. EIC chromatogram and calibration curve of Carbontetrachloride

各成分の直線性と再現性

各成分の濃度0.05~50μg/Lの検量線の決定係数r2と、下限値0.05μg/Lでのn=5繰り返し測定における定量値の平均値およびCV%を以下に示す。良好な直線性および再現性が確認できた。

Table 2. Linearity and repeatability

Name r2 Quantitative Value
average CV%
1 Chloroethylene 0.9999 0.047 5.2
2 1,1-Dichloroethylene 0.9999 0.050 1.4
3 Dichloromethane 0.9998 0.049 0.7
4 Methyl-t-ButylEther 0.9999 0.049 2.0
5 trans-1,2-Dichloroethylene 0.9999 0.047 1.4
6 cis-1,2-Dichloroethylene 0.9999 0.049 1.0
7 Chloroform 0.9999 0.049 0.9
8 1,1,1-Trichloroethane 0.9999 0.050 1.6
9 Carbontetrachloride 0.9999 0.049 1.2
10 1,2-Dichloroethane 0.9998 0.049 1.1
11 Benzene 0.9999 0.050 1.2
12 Trichloroethylene 0.9999 0.047 5.2
Name r2 Quantitative Value
average CV%
13 1,2-Dichloropropane 0.9999 0.050 1.4
14 Bromodichloromethane 0.9999 0.050 1.2
15 cis-1,3-Dichloropropene 0.9999 0.051 1.0
16 Toluene 0.9999 0.043 4.0
17 trans-1,3-Dichlorobenzene 0.9999 0.053 2.1
18 1,1,2-Trichloroethane 0.9999 0.050 1.4
19 Tetrachloroethylene 0.9993 0.046 1.5
20 Dibromochloromethane 0.9998 0.049 1.7
21 m,p-Xylene 0.9999 0.049 0.7
22 o-Xylene 0.9998 0.048 0.8
23 Bromoform 0.9998 0.051 0.9
24 1,4-Dichlorobenzene 0.9999 0.050 1.1
このページの印刷用PDFはこちら。
クリックすると別ウィンドウが開きます。

PDF 568 KB

関連製品

分野別ソリューション

閉じるボタン
注意アイコン

あなたは、医療関係者ですか?

いいえ(前の画面に戻る)

これ以降の製品情報ページは、医療関係者を対象としています。
一般の方への情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。

やさしい科学

主なJEOL製品の仕組みや応用について、
わかりやすく解説しています。

お問い合わせ

日本電子では、お客様に安心して製品をお使い頂くために、
様々なサポート体制でお客様をバックアップしております。お気軽にお問い合わせください。