島根大学と日本電子株式会社らの共同研究が「Acta Materialia」誌に掲載されました
公開日: 2026/08/07
島根大学、広島工業大学、日本電子株式会社、北野精機株式会社、量子科学技術研究開発機構(QST)、英国原子力公社(UKAEA)、オックスフォード大学、大阪大学の共同研究論文が、材料科学分野の国際学術誌「Acta Materialia」に掲載されました。島根大学が主導的な立場で共同研究を推進しました。
島根大学大学院自然科学研究科の井上喬仁博士(研究当時・博士課程、現・日本製鉄株式会社)、同大学次世代たたら協創センター(NEXTA)および大阪大学超高圧電子顕微鏡センターの荒河一渡教授らの研究グループは、透過電子顕微鏡(TEM)内で高純度鉄を引張変形させながらリアルタイム観察する「その場観察」により、すべり運動する転位と照射欠陥(〈100〉転位ループ)との個別の相互作用を、室温(300 K)に加えて高温(840 K)で直接観察することに成功しました。観察された相互作用は、転位ループの変化の様式に基づき5種類の反応タイプに分類されました。また、一般に、障害物による転位運動への抵抗は高温ほど低下すると考えられてきましたが、本研究では高温の方がむしろ増大するという、従来の通念を覆す結果が得られました。本成果は、核融合炉・核分裂炉用鉄鋼材料の照射劣化メカニズムの解明に向けた重要な知見を与えるものです。
本研究の室温その場観察には、当社が開発した無磁場電子顕微鏡「JEM-Z200MF」(島根大学設置)が活用されました。強磁性体である鉄は、通常のTEMでは対物レンズの強い磁場の影響により鮮明なその場観察が困難ですが、試料位置を実質的に無磁場環境にできるJEM-Z200MFの特長が本成果の実現に貢献しました。また、本論文には当社の前川達洋博士が共著者として参画しています。
