半導体解析用TEM 「ACE eye™」を販売開始
公開日: 2026/08/14
日本電子株式会社 (代表取締役社長兼CEO大井 泉) は、半導体解析用TEM「ACE eye™」を開発し、2026年7月より販売を開始しました。
本製品は、TEM/STEM観察からEDS分析までの一連の測定プロセスを自動化することで、オペレーターの熟練度に左右されにくい、再現性の高い測定を実現します。長時間の連続自動測定にも対応し、半導体デバイスの研究開発、プロセス評価および故障解析の効率化に貢献します。
開発の背景
半導体デバイスの微細化、高集積化、三次元化に伴い、Gate-All-Around (GAA)や3D NANDなどの先端半導体デバイスでは、構造の複雑化と使用材料の多様化が進んでいます。これらの研究開発、プロセス評価、故障解析においては、微細構造や材料界面の高分解能観察に加え、ナノメートル領域における元素分布を正確に把握することが重要です。
一方、高分解能TEM/STEM観察やEDS分析では、フォーカス、非点収差、試料高さ、ビーム位置、結晶方位などを適切に調整する必要があります。そのため、測定結果の品質や作業時間がオペレーターの熟練度に左右されるという課題があります。また、測定件数の増加に伴い、測定業務の効率化や、長時間にわたる連続自動測定へのニーズも高まっています。
当社は、こうした課題やニーズに応えるため、半導体解析用TEM「ACE eye™」を開発しました。本装置は、TEM/STEM観察からEDS分析までの一連の測定プロセスを自動化することで、オペレーターの熟練度に左右されにくい、再現性の高い測定を実現します。また、測定目的や運用環境に応じた柔軟な自動化に対応します。
「ACE eye™」は、“考える操作”から“任せる測定”への変革を促進し、半導体デバイスの研究開発、プロセス評価、故障解析の効率化に貢献します。
主な特長
Automation(自動化)
測定条件と手順をレシピ化し、TEM/STEM観察からEDS分析に至る一連の測定を、目的に応じてセミオートからフルオートまで自動化できます。球面収差補正装置ASCOR(CEOS社製)を標準搭載し、AI技術を活用した自動収差補正と高度な自動化アルゴリズムにより、測定の均一性と再現性を向上させます。さらに、大型液体窒素タンク、自動測定ソフトウェア「Automation Center」(オプション)、およびMultiSPECPORTER (MSP、オプション)を組み合わせることで、所定の条件下で長時間の無人連続自動測定が可能です。MSPは、最大12個の試料グリッドを真空環境下で保管し、GUI操作によって各試料を鏡筒内の観察位置まで自動で出し入れできるオートローディングシステムです。「Automation Center」と連携した無人データ取得により、「ACE eye™」の高スループット運用に貢献します。また、MSPは先端カートリッジ交換方式を採用しており、試料交換時に発生する試料ホルダーのドリフトを低減することで、高精度かつ安定した解析を支援します。Analytical Performance and Reliability(解析性能と信頼性)
ワイドギャップポールピースとASCORの組み合わせにより、高分解能観察と高感度EDS分析を両立し、TEM/STEMともに±0.5%の高い倍率再現性を実現します。EDSシステムは、2.2 srの大立体角(MSP非搭載時)を実現し、高い検出感度を備えています。さらに、高い取り出し角(Take-off angle)によって試料やホルダーによるケラレの影響を低減するとともに、システムピークを抑えたクリーンなスペクトルを取得できるため、信頼性の高い元素分析が可能です。また、LogChecker(オプション)による装置状態・外部環境の監視と、鏡筒エンクロージャーによる外乱の抑制により、測定の再現性と信頼性を向上させます。Operability(操作性)
直感的なUI「TEM Center」により、マウスを使ったシンプルな操作で観察・測定を行えます。「Automation Center」では、Operator/Administratorモードにより、役割に応じた設定・管理が可能です。また、GATAN社製カメラ(オプション,対応できないカメラもあります)とのシームレスな統合により、画像取得から保存まで円滑に実行できます。さらに、新開発ホルダーによる試料グリッドのワンタッチ装着や、TEM-FIB二軸傾斜リンケージカートリッジと専用TEMホルダー(いずれもオプション)によるTEM-FIB連携により、作業負担と試料取り扱い時のリスクを低減します。
「ACE eye™」は、先進的な半導体解析の「眼」として、信頼性の高い構造情報および組成情報を迅速に取得できるよう設計されています。
主な仕様
ACE eye™ ハイスループット解析電子顕微鏡
| TEM分解能 (200kV時) |
粒子像 ≤0.27 nm |
|---|---|
| 格子像 ≤0.1 nm | |
| インフォメーションリミット ≤0.14 nm | |
| STEM分解能 (200kV時) |
暗視野透過電子走査像 ≤0.1 nm |
| 明視野透過電子走査像 ≤0.1 nm | |
| 電子銃 | 冷陰極電界放出形電子銃(CFEG) |
| 加速電圧 | 60 kV~200 kV (200 kV,80kV標準対応。その他の加速電圧はオプション) |
| 収差補正装置 | STEM:ASCOR(標準構成) |
| オプション | JEOL製160mm2 SDD(Dual)、Automation Center、MultiSPECPORTER、Tomography、EELS |
各性能値は、当社所定の測定条件によります。
