オスミウム・プラズマコーターは「直流グロー放電による負グロー相領域内でのプラズマ製膜法」を用いた、主にSEM試料用の導電性薄膜作製装置です。プラズマCVD法により、非晶質のオスミウム導電性薄膜(オスミウムコート)を短時間に形成することができます。非常に強固、かつ滑らかな表⾯の導電性薄膜が試料に対し熱ダメージを与えることなく得られます。また、標準仕様のオスミウム薄膜機構に加え、ナフタレンを用いたプラズマ重合膜機構、導電性超薄膜製膜機構、親⽔化処理機構、深型試料機構などの拡張性に優れたラインアップを取り揃え、SEM・TEM試料等のさまざまな前処理に対応しています。
特長
オスミウム薄膜に関して
粒状性がない(オスミウム薄膜は非晶質)
回り込みが良い(四酸化オスミウムをガス化後に製膜)
熱ダメージがない(熱をかけず常温で製膜)
電子線ダメージがない(⾦属オスミウムの融点は2,700°C)
コンタミネーションがない(オスミウムイオン雰囲気内で製膜)
プラズマ重合膜(ナフタレンによるハイドロカーボン膜)
強靭性(FIBで使用するガリウムイオンに耐えうる強靭な膜です)
粒状性がない(ハイドロカーボンのプラズマ重合膜は非晶質)
回り込みがよい(ナフタレンをガス化してから製膜)
熱ダメージがない(熱をかけず、常温で製膜)
耐熱性
絶縁性
電子線ダメージがない
操作性について
フルオート操作(膜厚を設定してスタートボタンを押すだけ。人為的な膜厚誤差や膜質誤差が少なく、再現性に優れています)
オスミウム昇華室/ナフタレン昇華室の着脱が可能。(密封構造で、冷凍保存も可能)
オスミウム/ナフタレンの残量確認が可能(残量確認⼩窓付き)
製膜時間が短い(数nm/数秒)
安全性に関して
フルオート操作でヒューマンエラーを防ぎます。
アンプルは昇華室の中で割る安全構造です。
インターロック機構(オスミウムガスがガス反応容器内に導入された後、規定の真空度に到達しない限りガス反応容器内のリークができません。また、真空チャンバー開放時、ガス導入スイッチが押せません)
当社独自開発のオスミウムトラップフィルターを装着。環境基準をクリアし、ハイレベルな安全性を確保。
仕様・オプション
本体
タイプ | オスミウム膜/プラズマ重合膜 両用タイプ |
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型式 | OPC80T |
ガス反応容器 | ガラス容器 160 (φ) × 105 (H) mm |
最⼤試料寸法 | 44 (W) × 44 (D) × 4 (H) mm 又は、32 (φ) × 14 (H) mm |
SEM試料台用陰極電極 | マルチタイプ電極 10 mm φ × 2個 及び 15 mm φ × 2個 及び 32 mm φ × 1個 を同時に製膜 |
生成膜厚 | 数 nm〜数100 nm |
最⼩膜厚設定 | 超薄膜モード:0.1 nm〜、通常モード:1 nm〜 |
生成膜 | オスミウム薄膜 / プラズマ重合膜(ナフタレン) |
四酸化オスミウム昇華室 | 残量確認窓付密封脱着構造(脱着後冷凍保存可) |
ナフタレン昇華室 | ヒーター付、残量確認窓付脱着構造 |
ガス導入方式 | 四酸化オスミウム結晶 又は、ナフタレン結晶を専用昇華室で昇華させて導入 |
電源 | 単相AC 100 V 50/60 Hz 12 A (ロータリーポンプの供給電源を含む) |
外形寸法 | 450 (w) × 410 (D) × 390 (H) mm |
質量 | 約30 kg |
ロータリーポンプ(OsO4 フィルター付)
電源 | AC 100 V 50 Hz(60 Hz) 550 W |
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全負荷電流 | 単相 9.0 A (8.4 A) |
排気速度 | 200 L (240 L) /min |
外形寸法 | 170 (W) × 520 (L) × 560 (H) mm |
重量 | 約31 kg |
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