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XtaLAB Synergy-ED, MSおよびNMRを用いた複雑な分子の構造解析ワークフロー
part 2 : Quantum Mechanical Spectral Analysis (QMSA)

ED2023-02

XtaLAB Synergy-ED, MSおよびNMRデータから最適な三次元分子構造を導く

Figure 1. Levofloxacinの三次元分子構造解析ワークフロー
JMS-S3000 SpiralTOF™-plus 2.0による (a) MS/MSスペクトル、JNM-ECZL 500Rによる (b) 1H NMRスペクトル、(c) 候補構造AにおけるMS分析結果およびHiFSA fitting結果、(e) XtaLAB Synergy-EDによる電子回折構造解析結果

 

XtaLAB Synergy-EDは、医薬品試験試薬などの粉末試料をそのままの状態で電子回折構造解析を行うことが可能です。さらに日本電子の質量分析計 (MS) および核磁気共鳴装置 (NMR) による精密な化学構造分析と組み合わせることで、サブミクロン結晶のより最良な分子構造解析が可能です。Figure 1 は、Levofloxacinの三次元分子構造解析ワークフローです。実際に得られたMSデータとNMRデータの比較解析から、最適な候補構造を選択できます。ここでは、候補構造から計算された1H NMRスペクトルと測定された1H NMRスペクトルにおける整合性評価から、候補構造の選別が可能です。以下、構造解析ワークフローにおいて、Cosmic Truth (CT) ソフトウェアで提供されるQuantum Mechanical Spectral Analysis (QMSA)による 1H iterative Full Spin Analysis (HiFSA) 結果を用いた解析例を紹介します。1,2

 

CT HiFSA fitting : Levofloxacin

Figure 2. LevofloxacinのCT HiFSA fitting 結果
CT HiFSA fittingによる候補構造から計算された1H NMRスペクトルと測定された1H NMRスペクトルの整合性評価 (a) 0-10 ppm (b) H1ピーク拡大図、青色 : 実際のスペクトル、赤色 : 計算されたスペクトル (c) H2ピーク拡大図 (d) 整合性評価結果

 

Figure 2 は、LevofloxacinのCT HiFSA fitting結果です。ここでは、電子回折結果より推定された構造の妥当性を評価しました。測定された1H NMRスペクトルとCT HiFSA 計算結果の比較評価から、推定された分子構造の整合性を評価することができます。CTでは、QMSAによって得られる化学シフトや結合定数などのNMRスペクトルに関する全てのパラメーターから、1H NMRと推定構造における整合性が評価されます。Figure 2(b)および(c)より、候補構造の異なる部分構造に由来するピークと測定された1H NMRピークとの比較から、候補構造Aの計算結果において良い一致が得られました。最終的に、化学シフトの類似度、結合定数の類似度、計算されたスペクトルから説明されるスペクトル強度の類似度、実際のスペクトルと計算されたスペクトルにおける適合度および実験データと参照データにおける相対偏差から総合的な評価が可能です (Figure 2(d))。以上のことから、CT QMSAは定量分析、および純度分析においても有効な手法です。Figure 2(d)では、候補構造Aにおいて高い整合性が得られ、一方候補構造Bの結果については低い整合性を示しました。

MS-CT HiFSA fitting and XtaLAB Synergy-ED : Cinchonidine

Figure 3. Cinchonidineの三次元分子構造解析結果
JMS-S3000 SpiralTOF™-plus 2.0による (a) MSスペクトルおよび (b) MS/MSスペクトル、JNM-ECZL 500Rによる (c) 1H NMRスペクトル、(d) CT HiFSA fitting 結果のスペクトル、(e) 整合性評価結果、(f) Cinchonidine部分構造におけるCT HiFSA fitting結果、(g) XtaLAB Synergy-EDによる電子回折構造解析結果

 

Figure 3 は、 Cinchonidine の質量分析計JMS-S3000 SpiralTOF™-plus 2.0による分析、JNM-ECZL 500RによるNMR分析およびXtaLAB Synergy-EDとの複合分析結果です。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析法 (MALDI-TOFMS) による精密質量の分析結果 (Figure 3(a))およびMS/MSスペクトル (Figure 3(b))から、分子式および分子構造を推定することができます。また、測定された1H NMRスペクトル (Figure 3(c))とCT HiFSA fittingによる整合性評価から、推定された分子構造の整合性をMALDI-TOFMS結果と合わせて評価することができます(Figure 3(d)および(e))。Figure 3(f)は、Cinchonidine部分構造による複雑なスピン-スピンカップリングのCT HiFSA fitting 結果です。複雑な部分構造においても、実際のスペクトルに対してよい一致が得られました。CT HiFSA fittingを用いることで、複雑なNMRデータについても構造との相関性を解析することが可能です。Figure 3(f)は、MS-NMR分析および XtaLAB Synergy-ED の複合分析から得られた分子構造の解析結果です。MS-NMR複合分析結果を用いて、XtaLAB Synergy-EDより得られた電子回折結果の構造精密化を行いました。

 

MS-CT HiFSA fitting and XtaLAB Synergy-ED : ReserpineおよびRescinnamine

Figure 4. ReserpineおよびRescinnamineの三次元分子構造解析結果
JMS-S3000 SpiralTOF™-plus 2.0による (a) Reserpine MS/MSスペクトル、 (b) Reserpine CT HiFSA fitting 結果、(c) Rescinnamine MS/MSスペクトル、(d) Rescinnamine CT HiFSA fitting 結果、(e) CT HiFSA fitting 結果 6.2-7.8 ppm、(f) XtaLAB Synergy-EDによる電子回折構造解析結果

 

Figure 4 は、ReserpineおよびRescinnamine の MALDI-TOFMS、NMR およびXtaLAB Synergy-EDによる複合分析結果です。 MALDI-TOFMS による精密質量の分析およびMS/MSスペクトル (Figure 4(a)および(c))から、分子式および分子構造を推定することができます。また、測定された1H NMRスペクトルとCT HiFSA fittingによる整合性評価から、推定された分子構造の整合性をMALDI-TOFMS 結果と合わせて評価することができます (Figure 4(b)および(d))。Figure 4(e)は、ReserpineおよびRescinnamine 部分構造における CT HiFSA fitting 結果です。CT HiFSA fitting 結果より、部分構造が異なる ReserpineおよびRescinnamine の測定された1H NMRスペクトルにおいてそれぞれ良い一致が得られました。Figure 4(f)は、MS-NMR分析および XtaLAB Synergy-ED の複合分析から得られた分子構造の解析結果です。MS-NMR 複合分析結果を用いて、XtaLAB Synergy-EDより得られた電子回折結果の構造精密化を行いました。

References

(1) Pauli G. F., Chen S. N., Lankin D. C., Bisson J., Case R. J., Chadwick L. R., Gödecke T., Inui T., Krunic A., Jaki B. U., McAlpine J. B., Mo S.,
Napolitano J. G., Orjala J., Lehtivarjo J., Korhonen S. P., Niemitz M., J. Nat. Prod. 2014, 77, 6, 1473–1487.
(2) Cosmic Truth: https://ct.nmrsolutions.io/

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