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Aqua Cover法を使って液体の水を直接観察!

MP2025-03

はじめに

SEMが多機能化するにつれて、色々な試料の観察方法が確立されている。

ここでは、汎用SEMであるJSM-IT510を用い、液体の水そのものや水分を含んだ状態の試料を直接観察するAqua Cover法とその観察事例を紹介する。

水分を含んだ編物の乾燥過程 ~光学顕微鏡の場合~

生地の乾燥過程の観察には光学顕微鏡が簡便だが、水の判別が困難である。

観察開始直後(含水状態)から乾燥完了までの変化

では、SEMならどうでしょうか?

SEMで液体状態の水を観察

Point 1 0°C、650 Paの環境を保持

一般的な水の相図

Point 2 真空排気中の乾燥・気化熱による凍結防止

蓮の葉上の水滴 (カラー化)

Aqua Cover法の手順

大気圧下で試料をセットし、ステージを0℃まで冷却します。→ Aqua Cover治具をセットします。→ 試料室を650 Paまで排気します。→ Aqua Cover治具を外して観察開始!治具は真空内で外せます*。(使用装置:JSM-IT500LA、Deben社製Cool stage)

*予備排気室 (LLC) が必要。

水分を含んだ生地の乾燥過程の観察事例

Aqua Cover法を用いれば、SEMの高い空間分解能と深い焦点深度を生かした高含水試料の観察が可能になる。

編物 ポリエステル/ポリウレタン。観察開始直後
:生地が水に覆われています。繊維と水のコントラストがはっきりと区別できます。→ 8分36秒後:糸の隙間が大きく、その部分から優先的に蒸発が始まります。→  15分57秒後:糸の間の水分が蒸発した後も、繊維間に水が保持されています。→ 25分25秒後:繊維間の水分が蒸発し、乾燥が終了しました。綿と比べて、保水中と後で糸の太さは大きく変化していないように見えます。
織物 綿100%。観察開始直後
:生地が水に覆われています。繊維と水のコントラストがはっきりと区別できます。→ 2分48秒後:糸の隙間が少ないため、全体的に蒸発が始まります。やや糸の間の蒸発が速く進みますが、糸内部に保持された水分の蒸発には時間がかかります。→  4分4秒後:糸の間の水分が蒸発した後も、繊維間に水が保持されています。水が付着している繊維は、その輪郭がぼやけて見えます。→ 6分40秒後:繊維間の水分が蒸発し、乾燥が終了しました。保水中に比べて、糸の太さが細くなっていることがわかります。また、繊維を覆っていた水分がなくなり、その輪郭がシャープに観察されています。
本データは前機種JSM-IT500で撮影したものです。

まとめ

Aqua Cover法を使用することで、液体状態の水を保ったまま観察を行うことができる。JSM-IT510を用いることで、650 Paという低真空環境下でもS/Nの良い信号を得ることができ、水分が蒸発していく様子を動画として収めるなど、動的な観察も行うことができるようになる。最近では、本手法を使って材料の接触角 (ぬれ性) の評価が行われるようになってきている。

今回は、水分を含んだ生地の乾燥過程の観察事例を紹介した。光学顕微鏡像と比べて、繊維と水のコントラストがはっきりと区別できる。また、試料状態にもよるが、観察開始から乾燥まで、5分以上の十分な観察時間が確保できている。

 

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