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msFineAnalysis AI Ver.2のターゲット分析例
①ポリマー添加剤の高感度迅速分析

MSTips No. 478

はじめに

未知物質構造解析ソフトウェアmsFineAnalysis AIではGC/MSの標準的なイオン化法であるEI法(Electron Ionization)にSI法(Soft Ionization)を組み合わせたEI/SI統合解析により、精度の高い定性情報を取得することが可能である。またAI構造解析によりNISTライブラリー未登録物質の構造式の導出が可能である。これまではデコンボリューションピーク検出をベースにしたノンターゲット分析に用いられてきたが、Ver.2では特定の既知成分の有無を高感度かつ迅速に判定するターゲット分析機能が追加された。
本機能では予めリスト化された成分の分子式やマススペクトルなどの情報を元に、抽出イオンクロマトグラム(EIC)からピークを検出する。さらに検出されたピークに対しリテンションタイム(RT)、リテンションインデックス(RI)、分子イオン及びフラグメントイオンの精密質量解析、同位体パターン、マススペクトル類似度を用いた判定を行う。NISTライブラリー未登録物質についてもAI構造解析を併用することで、判定精度を向上させることが可能である。
Table 1にソフトウェアプリセットのターゲットリストおよび成分数を示す。本MSTipsではポリマー添加剤”Polymer additives”を用いた分析例について紹介する。

 

Table 1  Preset target list

実験

サンプルには市販されているアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)コポリマーおよびスチレン-ブタジエンゴム(SBR)製品を用いた。ABSは0.2mg、SBRは0.5mg秤量し、熱分解-GC-MS法で測定した。イオン化法にはEI法とFI法(Field Ionization)を用い、得られたデータをmsFineAnalysis AIにより解析した。Table 2に測定条件の詳細を示す。

 

Table 2  Measurement conditions

測定結果

Figure 1にEI測定結果のTICクロマトグラムを示す。 スチレン、アクリロニトリル、ブタジエンといった主要熱分解が検出された。

 

Figure 1 TIC chromatograms

ターゲット分析結果 ① - ABS製品

Figure 2にmsFineAnalysis AIのターゲット分析の結果画面を示す。画面左には各イオン化法におけるTICCおよびターゲット成分の分子式から作成されたEICが、画面右には検出されたピークのマススペクトルなどの定性情報とその判定結果が表示されている。

 

Figure 2 Result window of target analysis

 

Table 3に分析結果のターゲットリストを示す。背景色は解析結果を反映しており、黄色はEIC上でピークが検出された成分、青色はこれに加えマススペクトル類似度等の定性解析による判定をパスした成分(=ターゲットであることが確認された成分)である。今回の結果では酸化防止剤であるoctadecyl 3-(3,5-ditert-butyl-4-hydroxyphenyl)propanoateと可塑剤/難燃剤であるtriphenyl phosphateの2成分が確認された。これらのピークは強度比1%以下と微弱であり、ノンターゲット分析での確認は難しかったが、ターゲット分析により容易に確認することができた。

 

Table 3  Target list *selected blue and yellow

ターゲット分析結果 ② - SBR製品

Figure 3にターゲット分析の結果画面を示す。

 

Figure 3 Result window of target analysis

 

Table4にターゲットリストを示す。酸化防止剤の2,2,4-trimethyl-1H-quinoline、 滑剤のoctadecanoic acid、可塑剤のbis(2-ethylhexyl) benzene-1,2-dicarboxylate (=DEHP)の3成分が確認された。このうち2,2,4-trimethyl-1H-quinolineはNISTライブラリー未登録物質であるため、スペクトル類似度の判定は省略された。

 

Table 4  Target list *selected blue and yellow

 

一方で誤判定を防ぐためにはマススペクトルの評価が必要であり、msFineAnalysis AIではAI構造解析によりこの情報を補完することが可能である。Figure 4にAI構造解析結果画面を示す。実測スペクトルと2,2,4-trimethyl-1H-quinolinenの構造式から予測したスペクトルとの類似性はAI Score 791と高く、ターゲット成分である可能性を示唆していた。

 

Figure 4 Result window of AI structural analysis

まとめ

msFineAnalysis AI Ver.2のターゲット分析を用いてポリマー製品中の添加剤分析を行った。その結果微量成分を迅速に確認することができた。またNISTライブラリー未登録物質についてもAI構造解析により高精度で判定を行うことができた。

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