重なった信号の積分値
NMJT_0017
NMRスペクトルでは目的の化合物に溶媒や不純物などの信号が重なり、化合物単体の積分値が取れないことがあります。今回は重なった信号の積分値をどのように取るか、2種類の方法をご紹介します。
積分値の取り方
JASONでは自動積分の機能が備わっており、ボタンをクリックするだけで積分値を取ることができます*。
このとき、積分値ベースラインは縦軸のオフセットが0の値に設定されています。これに対し、Delta NMRソフトウェアのデフォルト設定のようにスロープ状のベースラインを設定する場合は‘積分/マルチプレットプロパティ’を開き、自動積分ベースラインに✓を入れてください。その下の‘Upper’‘Lower’の部分には平均化点数を入力します(デフォルトでは3 ptsになっています)。
*詳しくは NMJT_0006_自動・手動積分( https://www.jeol.co.jp/solutions/applications/details/nmjt_0006.html) をご覧ください。

重なった信号の一部を積分値から除外する
方法①:指定したピークを除外する
除外したいピークをピークピックし、‘積分/マルチプレット プロパティ’を開いて[除外]-[ピークタイプ]を選択します。そうすると、元の積分値から選んだピークタイプのピークの面積(波形分離した面積)を差し引いた値が得られます。

・注意点①
除外したいピークと残したいピークが同じピークタイプに分類されていると、ピークタイプを選んだときにどちらも除外されてしまうので注意が必要です。このような場合は‘ピークプロパティ’を開き、ピークタイプを別のカテゴリーへ変更する必要があります。
・注意点②
ピークのフィッティングが悪い場合は、モデルフィットを行うと改善する場合があります。

方法②:指定した積分範囲を除外する
全体の積分と除外したい範囲の積分をそれぞれ取り、‘積分/マルチプレット プロパティ’を開いて[除外]-[積分タイプ]を選択します。そうすると、全体の積分値から選んだ積分の面積を差し引いた値が得られます。

これらはJASON(JEOL Analytical Software Network) ver.5.1によるものです。
DeltaはNMR用解析ソフトウェアです。
