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FE-SEMによる半導体解析の高度化 ― 次世代解析と日常解析を担う「JSM-IT810」「JSM-IT710HR」【SEMICON Japan 2025出展レポート_Part1】

2025年12月17日 (水) から19日 (金) までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「SEMICON Japan 2025」に出展しました。会期中は多くの来場者で賑わい、盛況のうちに展示を終えました。
本レポートでは、会場で紹介した日本電子の半導体解析ソリューションについて、その一部をご紹介します。

次世代FE-SEM|JSM-IT810 Semiconductor Package

微細化が進む現場で何が課題になっているのか

半導体デバイスの微細化と構造の高度化が進むにつれ、観察対象はますます複雑になっています。
そのため、観察に伴う条件調整や試料作製の精度要求が高まり、解析工程全体における負荷が大きくなっています。

限られた人員で高度なプロセスを運用していく中で、担当者やスキルによる結果のばらつきも生じやすく、安定した再現性の確保は現場の大きな課題となっています。

判断に集中するための観察工程の自動化

JSM-IT810は、フォーカスや非点収差補正などの電子光学的な調整を自動で最適化する機能を備えています。

SEMのフォーカス調整や非点収差補正はオペレーターのスキルに少なからず左右され、オペレーターの熟練度はデータの再現性や現場のスループットにも影響を与えます。

自動調整機能が人による観察結果のばらつきを抑え、欠陥解析全体のスピードアップに繋げられる点が、実機デモを通して示されていました。

「展示会のように時間が限られる場でも、オートボタンだけで誰でも迅速にデータ取得まで進められる点は、現場を想定した運用として分かりやすかったと思います」(日本電子 植竹)

実機デモでは、来場者が画面を指さしながら質問する場面も多く見られ、
実際の操作感への関心の高さがうかがえました。

さらに、観察における日々のルーティン作業を自動化する仕組みとして、「Neo Action」も紹介されました。
Neo Actionは、あらかじめ作成した測定フローに沿って、視野変更、倍率・信号条件の切り替え、画像取得、EDS分析や元素マップ取得といった一連のルーティン作業を自動で実行できる機能です。プログラミング知識が不要で、通常のSEM操作の延長で、日々の作業を自動化できる点が特徴となっています。

こうした観察条件の自動調整と日常業務のルーティン作業の自動化により、操作負担を抑えつつ、その先の詳細観察・分析に注力できる運用イメージが、実機デモを通じて確認できました。

構造だけでなく「電気的な異常」まで含めた判断へ

こうした運用を踏まえたうえで、JSM-IT810のもう一つの特長として紹介されていたのが、電位コントラスト観察です。

電位コントラスト観察では、回路中の電位状態の違いが像の明暗として現れ、
ショートやオープン配線といった異常箇所の手がかりを得ることができます。

「半導体欠陥解析の現場において、電位コントラスト観察は電気的な異常箇所をナノスケールで特定するための重要な手法として用いられています。」(植竹)

実機展示ではSRAM試料を用いて電位コントラスト観察がデモンストレーションされ、前述の自動調整と組み合わせて容易に電位コントラスト像が提供できることが紹介されていました。

多くの来場者が集まり、電位コントラスト観察の説明が行われていました。

低加速観察の課題と、新しい選択肢-冷陰極電界放出電子銃

一方で、半導体デバイスの微細化・多層化が進むにつれ、電位コントラスト観察は以前よりも難しくなっています。

配線の微細化だけでなく各層の厚みが薄くなっていくことで、目的の構造外の影響によって本来の電位状態が反映されにくくなっているためです。

こうした状況から、より局所的な領域のみを反映した情報から適切な電位コントラストを得るために、低加速電圧での観察が求められています。一方で、低加速電圧に設定することで分解能の低下が観察倍率を律速し、両立は容易ではありませんでした

こうした背景を踏まえ、会場では将来の方向性として冷陰極電界放出電子銃がJSM-IT810に搭載されて参考展示されました。冷陰極電界放出電子銃は、高輝度かつエネルギー幅の狭い電子ビームを得られるため、低加速電圧条件でも高い空間分解能での観察を実現します。

デモでは、3 nmプロセスルールのSRAMを用いて、求められる分解能で電位コントラスト確認できる様子が示されていました。

さらに電位コントラスト観察のデモに加えて、冷陰極電界放出電子銃の特長を示す例として、低加速電圧条件のまま高倍率でラインアンドスペースパターンを観察し、パターンの形状を鮮明に捉えられる点も紹介されていました。

「この環境でここまで見えるとは」という驚きの声

また、Neo comfort (FE-SEM防音エンクロージャー) の効果も展示会ならではのエピソードとして語られています。

ざわついた展示会場においても環境外乱の影響を効果的に低減し、高い観察倍率の画像が表示され、来場者からは「この環境でここまで見えるとは思わなかった」という驚きの声が聞かれていました。

Neo comfort 内に設置されたJSM-IT810

JSM-IT810は、微細化し複雑化するデバイスと限られた現場リソースの中で、適切なコントラストの取得から高分解能観察までをより簡単に提供できる次世代FE-SEMとして、実機デモを通じて具体的な運用イメージが示されていました。

日常解析を支える高性能FE-SEM|JSM-IT710HR

「誰でも安定・安心して使えるFE-SEM」を現場に

品質保証や工程管理の現場では、装置を「誰でも安定・安心して使える」ことが強く求められています。ショットキー電子銃を搭載するSEM (FE-SEM) は、高倍率の観察・分析が容易に行える優れた装置ですが、条件設定の煩雑さや装置運用の管理の観点から、装置導入の敷居が高いと言われてきました。

JSM-IT710HRは、こうした現場の声を踏まえ、「本来は扱いが難しいFE-SEMを、日常解析に落とし込む」という思想で設計されたSEMです。「特に、品質保証や工程管理の現場で無理なく使われることを重視しています」と、日本電子の小島は説明します。

迷わず進められる操作設計

実機デモでまず印象的だったのは、観察位置の把握から倍率変更、元素分析までを、一連の流れとして進めていく操作感でした。
画面を切り替えたり、操作に立ち止まったりする場面はほとんど見られず、「判断に向かう流れ」を止めない設計が随所に感じられました。

光学像とSEM像を連携させて観察位置を把握できるZeromagでは、試料全体を確認しながら、そのまま迷うことなくSEM観察へ移行していきます。
どこを見ているのかを意識し続ける必要がなく、「まず全体を見て、必要な箇所をすぐ確認する」という日常解析の動きが、そのまま再現されていました。

さらに、自社開発のEDSにより、観察と同一画面で元素分析を行える点も特徴です。
観察を中断して分析画面に切り替える必要がなく、像を見ながらそのまま判断へ進められる操作感は、日々の使いやすさを支える要素として印象に残りました。

電子部品を用いた実機デモの様子。
観察位置の把握から元素分析までを一連の流れで進める操作性が紹介されました。

誰でも同じ流れで使える、日常解析のためのシンプルな自動化

JSM-IT710HRでは、日常解析で繰り返される観察条件や測定手順をあらかじめ登録し、ルーティン作業を自動で進められる仕組みとしてSimple SEMも紹介されました。

複雑なプログラミングを必要とするものではなく、日々の確認作業を想定したシンプルな自動化として位置づけられています。

「操作をあらかじめ決めておくことで、担当者が変わっても同じ流れで観察ができます。操作を覚えることに時間をかけず、本来の判断に集中できる点を意識しています」(同)

試料を割らずに全面観察

日常解析を想定したポイントとして、大型試料ホルダーとオフセットステージの組み合わせも一つの見どころとなっていました。ウエハやマスクを割らずにそのままセットし、まず全体を確認するという運用は、品質保証の現場を想定したものです。

8インチウエハ試料ホルダー
6インチマスク / 8インチウエハの全面観察に対応

「試料全体を確認することで、どこに着目すべきかを早い段階で判断しやすくなります。準備の負担を抑えながら、日常業務の中で無理なく使える点が特長です。」(小島)

止まらない運用を支える

さらに、水やガスを必要としない設計も、日常解析を支える重要なポイントとして説明されていました。

補充や管理の手間が不要なため、「必要なときにすぐ使える」「日常業務の流れの中で装置が止まりにくい」といった点が、現場で評価されているといいます。

「消耗品の管理に気を取られず、業務の流れの中で自然に使い続けられる点は、大きなメリットです」と小島は説明します。

まとめ

SEMICON Japan 2025では、半導体解析の現場で進む微細化・高度化を背景に、日本電子が捉える課題と、それに対する取り組みが具体的に示されました。

JSM-IT810は構造観察に加えて電気的な状態まで含めた判断を、現場で無理なく行うための次世代FE-SEMとして位置づけられ、JSM-IT710HRは日常解析の現場で誰でも安定・安心して使えるFE-SEMとしての位置づけが示されました。

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