高精度試料作製とスループット向上 ― FIB-SEM「JIB-PS500i」・TEM「JEM-ACE200F」【SEMICON Japan 2025出展レポート_Part2】
Part1では、FE-SEMによる半導体解析の高度化として、次世代解析を担うIT810と、日常解析を支えるIT710HRをご紹介しました。
Part2では、SEMで異常を捉えたその先の工程に焦点を当てます。試料作製から解析に至るプロセスにおいて、現場で直面する課題と、それに対するアプローチを取り上げます。
高品質TEM試料作製を支える高精度FIB-SEM|JIB-PS500i
STEM観察を軸にした、高品質試料作製という強み
半導体デバイスの微細化に伴い、TEM試料作製における薄膜試料 (ラメラ) の品質が、解析精度を左右する重要な要素となっています。
限られた人員で高度なプロセスを運用していく中で、担当者やスキルによる結果のばらつきも生じやすく、安定した再現性の確保は現場の大きな課題となっています。
JIB-PS500iは、TEM用薄膜試料作製において、高い精度を発揮するFIB-SEMとして展示されました。
その特長について、日本電子の横田は次のように説明します。
「薄膜試料作製の過程でSTEMによる構造観察ができ、その場で品質を判断できます。観察精度が高いため、作製した薄膜試料をTEM解析に進めず、FIB-SEM内のSTEM観察で完結させる運用をされているお客様もいらっしゃいます。」
低加速仕上げとステージ傾斜がもたらす、加工自由度と安定性
高品質な薄膜試料を安定して作製するためのポイントとして、低加速電圧による最終仕上げ加工も紹介されました。
初期段階では高加速で効率よく加工を進め、最終段階で低加速に切り替えることで、加工ダメージを抑えつつ、エッジまで精度の高い薄膜試料を得ることができます。
この点について横田は、「STEM像を確認しながら加工条件を調整することで、最終仕上げの精度が大きく向上します。この最後の工程をどれだけ丁寧に詰められるかが、解析結果を左右します。」と説明します。
また、-40°から93°までの広いステージ傾斜範囲により、さまざまな角度からビームを当てられる点も特長です。これにより、加工自由度を高めることで、安定した薄膜試料品質の確保につながっていることが説明されました。
高品質試料をそのままTEM観察につなぐTEM-LINKAGE
高品質に仕上げた薄膜試料の状態を保ったままTEM解析へとつなぐ手段として、TEM-LINKAGEも紹介されました。
試料作製から観察までの流れを滞らせないことは、解析の再現性や作業効率の面で極めて重要です。展示では、FIB-SEMとTEMが隣接して紹介され、試料作製とその先の解析工程を一連の流れとして理解できる構成となっていました。
自動化・ハイスループット解析を実現する製造向けTEM|JEM-ACE200F
製造現場で進む「自動化・ハイスループット化」の背景
JEM-ACE200Fは、半導体製造現場で日常的に発生する多数の解析業務を支えるTEMとして展示されました。
日本電子の黄は次のように説明します。
「半導体デバイスの微細化が進む一方で、品質管理や故障解析の現場では、確認すべきサンプル数は増え続け、より高精度かつ効率的な観察・分析が求められています。解析現場では人手不足や作業負荷の増大が課題となっており、"人が常時立ち会わなくても、いかに多くの試料を安定して処理できるか"という視点が、製造現場で重要になっています。自動化を前提にTEMを検討されるお客様は近年特に増えています。」
複数の薄膜試料を連続して解析できる高スループットTEM
JEM-ACE200Fの展示で特に注目を集めていたのが、新オプションのMSP (Multi SPECPORTER) です。
FIBで作製した試料を最大12点まで同時にセットできるため、試料交換のために装置を止める頻度を大幅に減らし、長時間の連続的な自動解析運用が可能になります。
さらに、AI+Automation
Centerとの連携により、複数試料の観察条件や分析手順をレシピ化し、自動で連続してデータ取得できるため、人手による操作のばらつきを減らし、再現性の高いデータを迅速に得られる点が現場で高く評価されている点も紹介されていました。
黄は、「従来の熟練者による操作に依存した運用から脱却し、"人が操作する時間"を劇的に削減することが期待されています。」と述べ、解析業務の自動化が前提となりつつある現状を説明しました。AI+AutomationCenter+MSPという三位一体の進化により、TEM解析は"人が待つ時間"から"装置が自律的に進める時間"へと変わりつつあります。
まとめ
半導体デバイスの微細化が進む中、解析現場では試料作製から観察・分析までのプロセスを、いかに効率よく安定して運用できるかが重要な課題となっています。SEMICON Japan 2025では、FIB-SEMとTEMを組み合わせた解析フローを通じて、こうした現場課題に対する日本電子の取り組みを紹介しました。
JIB-PS500iでは自由度の高い試料加工とSTEM観察を組み合わせることで、常に安定した試料品質を確保できる点をアピールしました。また、JEM-ACE200Fでは、MSPによる複数試料交換の効率化、AI+AutomationCenterを活用した自動化を推進し、継続的な性能・スループットの向上を実現します。これらの取り組みにより、解析現場に新たな価値を提供し続けます。
今後も、日本電子はお客様の研究開発や産業応用を力強く支え、科学の進展と社会の課題解決に貢献してまいります。
関連記事
FE-SEMによる半導体解析の高度化 ― 次世代解析と日常解析を担う「JSM-IT810」「JSM-IT710HR」【SEMICON Japan 2025出展レポート_Part1】
電子ビーム描画装置で支える半導体微細加工 ― 研究開発から量産までを担う「JBX」シリーズ【SEMICON Japan 2025出展レポート_Part3】
日本電子株式会社
日本電子は、1949年の創業以来、これまで最先端の理科学・計測機器、産業機器そして医用機器の開発に邁進してきました。
今では数多くの製品が世界のいたるところで使用され、真のグローバル企業として高い評価を頂いております。
「世界の科学技術を支えるニッチトップ企業」を目指し、ますます高度化し多様化するお客様のニーズに的確にお応えしていきます。
お問い合わせ
日本電子では、お客様に安心して製品をお使い頂くために、
様々なサポート体制でお客様をバックアップしております。お気軽にお問い合わせください。
