JSM-7200Fは、弊社フラッグシップ機である、JSM-7800FPRIMEで採用されている“インレンズショットキーPlus”の技術を応用した電子光学系と、TTLS(スルーザレンズシステム)を標準搭載する事で、高加速電圧・低加速電圧の両条件下において、従来機よりも空間分解能が大幅に向上しました。また、最大照射電流も300nA保証が可能になり、高分解能観察、ハイスループット分析を両立させ、更にオート機能等、使い勝手の良さも充実させた次世代マルチパーパスFE-SEMです。
特長
JSM-7200Fの主な特徴は、"インレンズショットキーPlus"の技術を応用した電子光学系、GB(ジェントルビームモード)と各種検出器により低加速電圧高分解能観察や信号選別が可能なTTLS(スルーザレンズシステム)、そして、電磁場重畳のハイブリッド型対物レンズです。
インレンズショットキー形電子銃
インレンズショットキー形電子銃は、電子銃と低収差コンデンサーレンズを最適化し、電子銃からの電子を効率よく利用する事で、大電流でも小さなプローブ径を得る事が可能です。よって、ハイスループット分析(EDS、WDS マッピング、EBSD分析等)が可能です。
TTLS(スルーザレンズシステム)
TTLS(スルーザレンズシステム)とは、GB(ジェントルビームモード)による低加速電圧高分解能観察や信号選別が可能なシステムです。
GB(ジェントルビームモード)で試料にバイアス電圧を印加することにより、入射電子に対しては減速、試料からの放出電子に対しては加速作用をもたらし、低加速電圧(入射電圧)においてもSN比の良い高分解能観察が可能です。
また、TTLSに搭載されているエネルギーフィルターのフィルター電圧により二次電子の検出量を調整する事が可能です。この為、極低加速条件下においては、試料最表面の高角度反射電子のみを上方検出器(UED)で取得する事も可能です。
フィルター電圧によってUEDで検出されなかった低エネルギー電子は、オプションの上方二次電子検出器(USD)により検出出来ますので、二次電子像、反射電子像の同時取得が可能です。
ハイブリッド型対物レンズ(電磁場重畳)
JSM-7200Fの対物レンズには、弊社新開発のハイブリットレンズを採用しています。
ハイブリッドレンズとは、磁界レンズと静電レンズを組み合わせた電磁場重畳型の対物レンズで、従来のアウトレンズよりも収差を抑え、より高い空間分解能を得る事が出来ます。 もちろん、アウトレンズの使い勝手の良さはそのままですので、磁性材料の観察や分析も問題ありません。
応用例
ハイブリットレンズ、GB(ジェントルビームモード)による観察例
低収差のハイブリッドレンズとGB(ジェントルビームモード)により、絶縁物であっても、極低加速電圧で高分解能観察が可能です。

×40,000倍

×150,000倍
入射電圧:0.5 kV
試料: メソポーラスシリカ (Courtesy of Professor Shunai Che, Shanghai Jiao Tong University, China)
上方検出器(UED)、エネルギーフィルターを用いた観察例
これらは、低加速条件での反射電子像(UEDで取得)になります。高角度反射電子像の為、組成情報リッチな像になっていますが、加速0.8kVの方が、加速5kVよりも最表面の微細な情報が測定出来ています。このように極低加速で試料最表面の反射電子組成像を得るには、上方検出器だけではなく、二次電子を除去するためのエネルギーフィルターが必須になります。


加速電圧: 0.8 kV(左のデータ), 5kV(右のデータ)
試料:金めっき表面
エネルギーフィルター: -250 V
特殊試料ホルダーのご案内
汎用特殊試料ホルダー & アダプター FE-SEM 走査電子顕微鏡用
仕様・オプション
JSM-7200F | JSM-7200F with 低真空モード(LV)* | |
分解能 (1kV) | 1.6 nm | |
分解能 (20kV) | 1.0 nm | |
分解能(分析時) | 3.0 nm
(15 kV、WD:10 mm、照射電流:5 nA) |
|
倍率 | ×10~×1,000,000 | |
加速電圧 | 0.01~30 kV | |
照射電流 | 1 pA~300 nA | |
検出器(標準) | UED、LED | |
検出器(オプション) | USD、RBED | |
電子銃 | インレンズ・ショットキー電界放出電子銃 | |
開き角制御レンズ | 組込み | |
対物レンズ | コニカルレンズ | |
試料ステージ | フルユーセントリック・ゴニオメーターステージ | |
試料移動 | X:70 mm、Y:50 mm、Z:2〜41 mm、
傾斜:-5 ~ 70°、回転:360° |
|
モーター制御 | 5軸モーター制御 | |
試料交換室 | 最大径:100 mm
最大高さ:40 mm (乾燥窒素によるベント) |
|
長焦点深度(LDF) | 組込み | |
LVモード | - | 組込 |
LV検出器 | - | LV-BED、LV-SED
(オプション) |
LV分解能 | - | 1.8 nm(30 kV) |
LVモード時圧力 | - | 10 Pa~300 Pa |
オリフィス制御 | - | 操作GUIより |
導入ガス | 窒素 | |
排気系 | SIP × 2、TMP | |
排気 | RP × 1 | RP × 2 |
オプション
主要なオプション
リトラクタブル反射電子検出器(RBED)
上方二次電子検出器(USD)
低真空二次電子検出器(LV-SED)
エネルギー分散形X線分光装置(EDS)
後方散乱電子回折(EBSD)
波長分散形X線分光装置(WDS)
大形試料ステージ(SS100S)
試料交換室(Type1)
ステージナビゲーションシステム(SNS)
試料室カメラ
操作テーブル
スマイルビュー
軟X線発光分光器
アプリケーション
JSM-7200Fに関するアプリケーション
関連製品
関連製品

SXES (Soft X-Ray Emission Spectrometer)/SXES-ER (Soft X-Ray Emission Spectrometer Extended Range) 軟X線発光分光器

miXcroscopy™ 光学顕微鏡/走査電子顕微鏡リンクシステム
光学顕微鏡と走査電子顕微鏡の試料ホルダを共通化し、ステージ情報を専用のソフトウェアで管理することにより、光学顕微鏡で観察した箇所をシステムに記憶させ、同一視野を走査電子顕微鏡でさらに拡大して微細構造観察ができるようになりました。光学顕微鏡で観察ターゲットを見逃すことなく、シームレスに走査電子顕微鏡で観察することが可能となり、光学顕微鏡像と走査電子顕微鏡像との比較検証がよりスムーズで容易にできるようになりました。

Serial Block-face SEM JSM-7200F・7800F / Gatan 3View®2XP
大電流で微細な電子プローブを長時間安定して得られるショットキー電界放出形走査電子顕微鏡内に3View®2XP(Gatan社製)を搭載することにより、試料の自動切削および自動画像取得が行えます。取得した画像を3D再構築することにより3Dでの微細構造解析することが可能になります。