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GRAND ARM™ 3
原子分解能分析電子顕微鏡

フラッグシップ、その先へ。
観察と分析の新時代を切り拓く300 kV TEM
GRAND ARM™ 3

ドイツCEOS 社との共同開発により、最新の収差補正装置「LASCOR (Large Aperture STEM Corrector)」および「ATCOR (Advanced TEM Corrector)」をGRAND ARM™ 3 に搭載可能となりました。これにより、従来を大きく超える開口条件での観察・分析を実現し、STEM およびTEM の両モードにおいて、これまでにない超高分解能観察と高精度分析が可能となります。
さらに、新開発の高速スキャンシステムでSTEM像を毎秒30 フレーム以上で取得できるようになりました。これまでSTEM では困難であった原子レベルでのその場観察や動的現象の解析を可能となり、材料研究の新たな可能性を切り拓きます。

特長

LASCOR (Large Aperture STEM CORrector)

STEM収差補正装置LASCORは三段構成の六極子型収差補正電子光学系により、STEMモードにおけるロンチグラム上の収差 補正領域が大幅に拡大されます。これにより、大きな収束角での観察が可能となり、回折限界の影響を低減した高分解能STEM像の取得が実現します。また、収束半角の拡大に伴い焦点深度が浅くなることを利用し、対物レンズの焦点距離を微小量ずつ変化させながらSTEM観察を行うことで、試料の深さ方向の情報を高分解能で取得することも可能です。

Performance

• HAADF-STEM 分解能:
49 pm 以下 (300 kV 時)
76 pm 以下 (80 kV 時)

• 収差補正角度領域:
半角85 mrad 以上 (300 kV 時)

(a)
(b)

Ronchigram 中の均一位相空間
(従来機との比較)

LASCORは従来の収差補正装置では補正が困難であった六回非点収差 (A5) に加え、六次スリーローブ収差 (D6) の補正が可能です。
これにより、STEMモードでのRonchigram 中の収差補正された角度空間は、従来の半角35 mradから85 mrad以上へ拡張されます。

  • (a) LASCORの光学系配置と光線図
  • (b) LASCORで取得した、加速電圧300 kVのRonchigram
  • (c) 従来型の二段構成六極子型収差補正器で取得した、加速電圧300 kVのRonchigram
(b)

高分解能STEM像

加速電圧300 kVおよび80 kVにおけるHAADF-STEM分解能の評価結果を示します。300 kVでは48.3 pmに対応する反射スポット、80 kVでは76 pmに対応する反射スポットをそれぞれ明瞭に確認できます。これにより、本装置が低加速電圧から高加速電圧にわたる広い動作範囲において、優れた空間分解能を有することを示しています。

  • (d) 加速電圧300 kVで得たGaN[211] 単結晶のHAADF-STEM像 (ビーム電流23 pA、集束半角:46 mrad)
  • (e) STEM像 (d) の高速フーリエ変換のパワースペクトル
  • (f) 加速電圧80 kVで得たGe[112] 単結晶のHAADF-STEM像 ( ビーム電流23 pA、集束半角:46 mrad)
  • (g) STEM像 (f) の高速フーリエ変換のパワースペクトル
 

(d)〜(g)

ATCOR (Advanced TEM CORrector)

TEM収差補正装置ATCORの最適化された配置の二段構成の六極子型収差補正電子光学系により、従来のTEM収差補正装置では補正できなかった六回非点収差の補正を実現しました。これにより、より広角に散乱された電子が収 差の影響を受けずに結像に寄与するようになり、TEMモードにおける分解能の向上が実現されます。また、回折モー ドにおいては、広角散乱電子が受ける収差の影響が低減されるため、歪みの抑制された回折図形を取得することが可能です。

Performance

• 格子分解能: 50 pm 以下 (300 kV 時)

• 情報限界: 60 pm 以下 (300 kV 時)

六回非点収差の低減
(従来の収差補正装置とのDiffractogram Tableauの比較)

(h)

ATCORは5次収差まで補正可能です。傾斜角60 mradを超える照射ビームで得られたディフラクトグラムに現れる二回非点収差の位相角回転から、ATCORでは六回非点収差 (A5) が大幅に低減されていることが確認できます。

  • (h) ATCOR の光学系配置と光線図
  • (i) ATCORで取得した、加速電圧300 kV、傾斜角70 mradのDiffractogram tableau
  • (j) 従来のTEM収差補正装置で取得した、加速電圧300 kV、67.9 mradのDiffractogram tableau
 

(i), (j)

高分解能TEM像 (情報限界)

加速電圧300 kVで取得したグレーティング試料のYoung's Fringe法で取得したTEM像の高速フーリエ変換図形を示します。フリンジパターンの伸びから60 pm以下の空間周波数の情報が伝達できていることを示しており、本装置が高い空間分解能を有することを示しています。

  • (k) 加速電圧300 kVで得たグレーティング試料のYoung's Fringe法による情報限界測定結果
(k)

High-resolution TEM image (lattice resolution)

加速電圧300 kVで取得したAu[100] 方位のTEM像と高速フーリエ変換のパワースペクトルを示します。ATCORを用いることで、50 pmに対応する反射スポットを明瞭に観察できており、本装置が高い装置安定性を有することを示しています。

  • (I) 加速電圧300 kVで得たAu[100] 単結晶のTEM像
  • (m) TEM像 (I) の高速フーリエ変換のパワースペクトル
(I), (m)

超高分解能・超高感度EDS分析

従来の電子顕微鏡では、高分解能プローブはプローブ径を原子スケールまで縮小できる一方、プローブ電流が低いため試料から発生するX線強度が弱くなるという課題がありました。そのためEDS分析では、プローブ電流を優先した分析用プローブを使用する必要があり、空間分解能とのトレードオフが生じていました。LASCORの導入でより大きな収束角をとれるようになり、高プローブ電流と原子スケールの高分解能を両立した電子プローブの形成が可能になりました。加えて、158 mm2 Dual SDDの高いX線検出効率のEDS分析システム により、高分解能観察プローブを用いた高速EDS分析を実現しました。 下図は、高分解能観察プローブを用いて同時取得したGaN[211]の原子分解能HAADF-STEM像、ABF像、およびEDS元素マッピングの結果です。原子分解能観察に適した高分解能プローブを用いながら、高いS/N 比を有する元素マップを取得できていることが分かります。

(n)

高速スキャンシステム

High-speed scanは、インダクタンスを従来の0.5% 以下に低減した専用の磁気コイルと減衰時間の短いシンチレータを組み合わせることにより、テレビレートでのSTEM観察を実現するJEM-ARM300F2用電子線高速走査システムです。ピクセルあたりの滞在時間は83 ns、フライバック時間は20 µs まで高速化が可能です。時間分解能は31 ms (512 × 512 ピクセル) であり、1秒あたりに32フレームの像取得が可能です。原子分解能でのその場観察などに応用でき、リアルタイムで化学反応などのダイナミックな現象を追跡できます。

Performance

• 最速スキャンスピード: 82 ns/pix

• 最短フライバックタイム: 20 µs 以下 (スキャンスピード 83 ns/pix 時)

• フレームレート: 画素サイズ 512 × 512 pix 時30 fps 以上

• 同時取得チャンネル数: 1 ch
※本製品に構成するAD 検出器 (ADF2 ポートに装着される検出器) のみ対応。

• 最大スキャン領域: 400 × 400 nm 以上

STEMの高速化技術

従来のSTEM観察では、512 × 512画素で毎秒1 ~2フレームが限界でした。これに対し、スキャンコイルのイ ンダクタンスを従来比1/240に低減することで、フライバック時間を500 µs から20 µs 以下へ大幅に短縮しま した。さらに、蛍光寿命の短いシンチレーターの採用によりナイキスト周波数6 MHzを達成しました。これらの高 速化改良に加えて、高速STEM観察に対応した高速データ転送システムを構築しました。

従来のSTEM像観察との比較

従来のスキャンシステムとの比較 (50倍速いSrTiO3[100] の原子分解能STEM動画)

高速STEM観察動画
  • スキャンスピード: 0.083 µs/pix
  • フライバック時間: 20 µs
  • STEM像取得速度: 25 fps
従来のSTEM観察動画
  • スキャンスピード: 4 µs/pix
  • フライバック時間: 400 µs
  • STEM像取得速度: 0.5 fps

データご提供:東京大学総合研究機構 石川亮准教授

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