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n型半導体(Pドープ型)のESRによる測定

ER250001

はじめに

半導体素子に機能を付与する処理の一つにドーピングがあります。汎用的には、ドーパントとしてリン(P)を用いるn 型半導体、ホウ素(B)を用いるp 型半導体などがあります。こうしたドーパントは母材であるケイ素(Si)と結合手の数が異なるため、ドーピングすることにより欠陥が生じます。欠陥には不対電子が存在するので、ESRでこれを観測することができます。ドープされている元素やその量を評価することが可能となり、半導体を使用するデバイスの機能予測に活用することができます。ここではPをドープしたn型半導体を測定した例を示します。
極微量の欠陥を観測できるようにするため、液体ヘリウムを用いた温度可変装置をアタッチメントとしてセットしたシステムで測定を行いました。

実験

試料:n型半導体 ESR用試料管に挿入できるよう幅3.5mm、長さ20mm にカットしたもの
温度可変装置 液体ヘリウム温度可変装置(ES-13130HEVT/BU)
測定温度 4.5K
ESR測定条件 周波数:8879.4MHz, 磁場:315.887±7.5mT, マイクロ波出力:1mW, 変調磁場幅:0.1mT, 掃引時間:4min, 時定数:0.3s, 増幅率:500, Mnマーカー:650

n型半導体のESRスペクトルの例

下図に得られたESRスペクトルを示しました。両側に観測された一対のシャープな信号は、装置に付属しているMnマーカーです。試料と同時測定することにより、信号の同定に必要なg値を正確に求めることができます。図の試料では2種類の信号が観測されました。中央の信号はg=2.0059を示したことから、Si のダングリングボンド(Si)と同定されます。またその他に、Pの核スピン(I=1/2)を反映して2本に分裂したP信号が観測されました。分裂の中心の磁場からg=1.9985 と求められました。
こうした信号は製造方法に依存して量が異なります。不対電子量が既知の標準試料を測定し、その積分値を試料由来の信号の積分値を比較することで定量が可能です。このようにESRを用いて評価することにより、短時間で半導体の欠陥の同定・定量評価に活用できると期待されます。

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