AI(人工知能)を用いた構造解析機能を搭載したJMS-T2000GC専用解析ソフトウェアmsFineAnalysis AI
日本電子news Vol. 55 No. 1 日本電子株式会社 MS事業ユニット 久保 歩
msFineAnalysisは、日本電子製ガスクロマトグラフ飛行時間質量分析計(GC-TOFMS)専用解析ソフトウェアとして開発された。複数回のバージョンアップを経て、msFineAnalysisにはデコンボリューション検出や2検体差異分析等の機能が実装されてきた。今回、弊社はmsFineAnalysisの新バージョンとして、msFineAnalysis AIを開発した。msFineAnalysis AIには、人工知能(AI)を用いた構造解析手法“AI構造解析”が搭載されている。AI構造解析は、NISTライブラリーに未登録の化合物(未知化合物)の分子式だけでなく構造式まで決定することが可能である。AI構造解析のワークフローは次のようになる。
最初に、従来のmsFineAnalysisの特徴である統合解析が未知化合物の分子式を決定する。次に、1億を超える化合物が登録されているデータベース(PubChem)から決定された分子式を元に構造式候補が抽出される。抽出された構造式の電子イオン化(EI)法のマススペクトルを、AIが構造式から予測する。次に、予測されたマススペクトルと実測のマススペクトルの比較により構造式候補の順位付けが行われる。最後に、最上位の構造式候補が解析結果として採用される。
構造式からマススペクトルを予測するAIの学習と精度評価には、NIST20ライブラリーを使用した。精度評価の結果、未知化合物の構造解析においてAI構造解析が有用であることを確認した。本報告では、msFineAnalysis AIの特徴および評価結果を紹介する。
構造式からマススペクトルを予測するAIの学習と精度評価には、NIST20ライブラリーを使用した。精度評価の結果、未知化合物の構造解析においてAI構造解析が有用であることを確認した。本報告では、msFineAnalysis AIの特徴および評価結果を紹介する。