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GC/MS/MSのシングルQMSモードを用いたフィルム中添加剤分析

MSTips No.450

はじめに

Fig. 1 JMS-TQ4000GC UltraQuad™ TQ

ガスクロマトグラフ三連四重極質量分析計(GC-TQMS)JMS-TQ4000GC UltraQuad™ TQ(Fig. 1)は、MS/MSモードによる微量成分の定性・定量解析に加えて、シングルQMSモードにより、GC-QMSとして使用することが可能である。一般的に、GC-MS/MSはイオン源から検出器までの距離が長くなるために、シングルQMSモードでの感度はGC-QMSと比べて低下すると言われている。しかし、JMS-TQ4000GCでは、①高精度大型双極四重極による高いイオンの透過性の実現②ショートコリジョンセルによる極めて短時間でのコリジョンセルの通過によるイオンロスの軽減③検出器前に設置した平行平板静電形偏向器によるノイズの原因となる中性粒子の排除により、感度低下を軽減している。そこで、本アプリケーションでは、シングルQMSモードを用いて、従来のGC-QMSと同様に材料中の添加剤分析が実施可能であるか検証を行うと共に、msFineAnalysis iQによる解析を実施したので報告する。

測定条件

測定は熱分解装置 (PY-3030D、フロンティア・ラボ製) と、ガスクロマトグラフ三連四重極質量分析計JMS-TQ4000GC UltraQuad™ TQを使用した。測定試料は、包装材として使用されるポリプロピレン製のフィルム約2 mgをEI測定に用い、約6.5mgをPI測定に用いてTable1に示す条件にて測定を実施した。

 

Table 1 Measurement condition

結果

GC-QMSとの比較結果

Fig. 2(a)にGC-QMSであるJMS-Q1600GCで得られたTICCとFig. 2(b)にJMS-TQ4000GCから得られたTICCを示す。 TICCで観測されたピークに大きな差異がないことが確認された。また、観測された主要なピークについてマススペクトルを確認したところ、装置間での差異がないことが確認された。Fig. 3に一例として、ピーク強度の上位2本におけるマススペクトルを示す。NISTライブラリーサーチ結果から、Peak No.1と1’はヒンダードフェノール系酸化防止剤Pentaerythritol tetrakis [3-(3‘,5’-di-tert-butyl-4‘-hydroxyphenyl)propionate] の分解物である7,9-Di-tert-butyl-1-oxaspiro (4,5) deca-6,9-diene-2,8-dioneであり、ピークNo.2と2’は、脂肪酸系の滑剤であるStearic acidと推定された。

 

Fig. 2 Comparison TICC by JMS-Q1600GC(a) with TICC by JMS-TQ4000GC(b)

 

Fig. 3 Comparison mass spectra by JMS-Q1600GC(No.1&2) with mass spectra by JMS-TQ4000GC (No.1’&2’)

 

msFineAnalysis iQによる解析結果

JMS-TQ4000GCのシングルQMSモードで取得した測定データについては、msFineAnalysis iQで解析できる。Fig. 4にmsFineAnalysis iQのデコンボリューション検出結果を示す。デコンボリューション検出により46本のピークが自動で抽出された。Fig. 5に特徴的な添加剤成分を示す。リン系の酸化防止剤であるPhenol, 2,4-bis(1,1-dimethylethyl)-, phosphite (3:1)(ID:044)とその酸化物であるTris(2,4-di-tert-butylphenyl) phosphate(ID:045)が観測されていた。どちらの化合物もEIのマススペクトルでは、分子イオンのピーク強度は弱いものの、PIのマススペクトルでは明確に分子イオンのピークが観測されている。

 

Fig. 4 The result of deconvolution detection by msFineAnalysis iQ using JMS-TQ4000GC single SCAN mode data

 

Fig. 5 Mass spectra of ID:044 and ID:045 using JMS-TQ4000GC single SCAN mode data

まとめ

JMS-TQ4000GCのシングルQMSモードを用いることで、従来のGC-QMSと同様に材料中の添加剤分析を実施する事が可能であった。また、得られる測定結果はGC-QMSと類似の結果となることが確認出来た。さらに、msFineAnalysis iQによる自動解析も実施でき、特徴的な添加剤成分の情報を得ることができた。このように、JMS-TQ4000GCは1台の装置でシングルQMSモードからMS/MSモードによる測定が実施できるため、幅広いアプリケーションに対応することが可能となる。

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