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msFineAnalysis AI Ver3によるGCxGCデータ解析 ①軽油の分析

MSTips No. 509

はじめに

定性解析ソフトウェアmsFineAnalysis AIは、EI (Electron Ionization) / SI (Soft Ionization) 統合解析とAI構造解析によりライブラリー未登録物質の自動構造解析が可能である。Ver3では新たに包括的二次元ガスクロマトグラフ(GCxGC)データ解析に対応した。Figure1にGCxGC-MSと二次元クロマトグラムの模式図を示す。GCxGCではモジュレーターを介して極性の異なる2つのカラムを接続する。第一カラム分離後のサンプルをモジュレーターで冷却保持し、数秒の間隔をあけて第二カラムに加熱導入する。例えば第一カラムを無極性カラムとして沸点による分離を、第二カラムを有極性カラムとして極性による分離をすることで、化合物の分離能力を大幅に向上させることが可能である。成分数が多くシングルGC-MSでは困難な石油・化学分析や、複雑なマトリクスを有する食品・香料・環境分析などに有効である。本MSTipsでは基本的なアプリケーションとなる軽油分析を例に、その機能と特徴を紹介する。

 

Figure 1 GCxGC-MSと二次元クロマトグラムの模式図

実験

サンプルには石油製品試験用の軽油(関東化学株式会社 24107-08)を用い、0.2μLをGCに注入した。GCxGCモジュレーターにはINSIGHT-Thermal modulator (SepSolve Analytical社)を用い、第一カラムは微極性、第二カラムは中極性の構成とした。GC-TOFMSにはJMS-T2000GCを用いイオン化法にはEI法とソフトイオン化のFI(Field Ionization)法を用いた。解析ソフトウェアにはmsFineAnalysis AI Ver3を用い、GCxGCノンターゲット分析モードにて解析を行った。分析条件の詳細をTable 1に示す。

 

Table 1 分析条件の詳細

結果

Figure 2にmsFineAnalysis AIの解析結果のスクリーンショットを示す。画面左側にはEI法とFI法の2次元クロマトグラムおよびピークリストが配置されており、画面右側には選択したピークのマススペクトルと定性解析結果が配置されている。

 

Figure 2 msFineAnalysis AIの解析結果画面

 

Figure 3にnアルカン(C14H30、C15H32、C16H34)のEI法とFI法のマススペクトルを示す。軽油は多くの炭化水素化合物の混合物であり、nアルカンなど構造が共通で炭素数(分子量)が異なる化合物が複数含まれる。これらの化合物はフラグメントイオンが共通するためEIマススペクトルでは判別が難しいが、ソフトイオン化法で検出した分子イオンの情報を利用するEI/SI統合解析により容易に判別可能となる。

 

Figure 3 nアルカン (C14H30、C15H32、C16H34)のマススペクトル(上 : EI / 下 : FI)

 

Figure 4にシングルGC-MSで得られた一次元クロマトグラムと、GC-GC-MSで得られた二次元クロマトグラムを示す。二次元クロマトグラムでは縦軸でパラフィン、オレフィン、ナフテン、芳香族などの構造を大まかに区別することが可能である。これにより軽油サンプルの定性情報を視覚化して把握することが可能であった。

 

Figure 4 軽油のクロマトグラム (:シングルGC-MS / : GCxGC-MS)

 

Figure 5にmsFineAnalysis AIで自動検出できたピーク数を示す(*有意な定性情報を導出できたものに限る)。検出閾値を下げた際、シングルGC-MSではピーク数が200程度で頭落ちするのに対し、GCxGC-MSでは700超まで増やすことが可能であった。これによりGCxGC-MSが微量ピークの定性分析に有効であることが確認できた。

 

Figure 5 msFineAnalysis AIで自動検出できたピーク数

まとめ

msFineAnalysis AI Ver3では新たにGCxGCデータ解析に対応、二次元クロマトグラムから検出される非常に多くのピークに対し、EI/FI統合解析による信頼性の高い定性解析結果を迅速に得ることが可能となった。

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