msFineAnalysis AI Ver3によるGCxGCデータ解析 ②ポリマーの熱分解分析
MSTips No. 510
はじめに
定性解析ソフトウェアmsFineAnalysis AIは、EI (Electron Ionization) / SI (Soft Ionization) 統合解析とAI構造解析によりライブラリー未登録物質の自動構造解析が可能である。Ver3では新たに包括的二次元ガスクロマトグラフ(GCxGC)データ解析に対応した。MSTips509では軽油分析を例に、EI/SI統合解析の有用性を紹介した。本MSTipsではポリマーの熱分解分析を例に、AI構造解析の有用性について紹介する。 Figure1に熱分解(Py)-GCxGC-MSの模式図を示す。ポリマーの熱分解分析で検出される化合物はマススペクトルが未知なだけではなく、構造式自体明らかになっていないものも存在する。msFineAnalysis AIではホモポリマー49種、コポリマー18種に対し、熱分解で生成されるオリゴマーの構造式をin-silicoで創出し、さらにそのマススペクトルをAIが予測することで定性解析を可能としている。

Figure 1 Py-GCxGC-MSの模式図
実験
サンプルには市販のスチレンブタジエンゴム(SBR)製品を用い、0.2mgを秤量した。熱分解分析装置にはEGA/PY-3030D(フロンティア・ラボ社)を用い、炉温度600℃のシングルショットモードにて測定を行った。分析条件の詳細をTable 1に示す。
Table 1 分析条件の詳細


結果
Figure 2にmsFineAnalysis AIの解析結果のスクリーンショットを示す。

Figure 2 msFineAnalysis AIの解析結果画面
Figure 3にピークID118のAI構造解析結果のスクリーンショットを示す。この化合物はNISTライブラリー未登録であったが、AI構造解析の結果スチレン-スチレン-ブタジエン(SSB)混成トライマーを示唆する構造が第一候補として導出された。

Figure 3 ピークID118のAI構造解析結果画面
Figure 4にシングルGC-MSで得られた一次元クロマトグラムと、GC-GC-MSで得られた二次元クロマトグラムを示す。二次元クロマトグラムではSBRの熱分解物であるスチレン-ブタジエン(SB)混成オリゴマーと添加剤を分離することができた。またSB混成オリゴマーはスチレンの重合数が多いほど縦軸上方向にずれていく様子が確認できた。

Figure 4 SBRのクロマトグラム (上 :シングルGC-MS / 下 : GCxGC-MS)
まとめ
msFineAnalysis AI Ver3では新たにGCxGCデータ解析に対応、二次元クロマトグラムから検出されるライブラリー未登録物質に対し、AI構造解析により構造式を自動で得ることが可能となった。
