窒素キャリアガスを用いたHS-GC-MS法によるエピクロロヒドリンの分析
MSTips No. 534
1. はじめに
GC-MSのキャリアガスとして用いられるヘリウムは、近年、供給不足および価格高騰により不安定な状態が続いている。このため、装置の安定的稼働のためにはヘリウムの代替として水素あるいは窒素をキャリアガスとして利用することが求められている。
本報告では、2004年に要監視項目として追加されたエピクロロヒドリンについて、代替キャリアガスに窒素を用いたHS-GC-MS法による測定を試みた。エピクロロヒドリンの目標値は0.4µg/Lであり、その1/10の0.04µg/Lの検出感度および検量線の直線性について検討を行ったので、その結果を報告する。
2. 実験
エピクロロヒドリン標準液を濃度0.04, 0.1, 0.4, 1, 4µg/Lとなるよう添加し調整し、各測定試料には内部標準物質として、フルオロベンゼンを5µg/Lの濃度で添加した。測定にはヘッドスペースオートサンプラーMS-62071STRAPおよび、JMS-Q1600GC UltraQuad™ SQ-Zeta(日本電子製)を用いた。測定条件を表1に示す。
表1 測定条件

3. 測定結果
図1に下限濃度であるエピクロロヒドリン0.04µg/Lの抽出イオンクロマトグラム(EIC)を示し、連続測定(n=5)における定量値の変動係数(CV%)を表2に示す。窒素をキャリアガスに用いた場合でも、下限値0.04µg/Lが検出可能であり、良好な再現性が得られた。また、各標準試料を測定して作成した検量線(0.04~4µg/L)を図2に示す。検量線の直線性は良好であり、決定係数 (R2) が0.999以上を示した。
図1 エピクロロヒドリン(0.04 µg/L)のEIC
表2 エピクロロヒドリン(0.04 µg/L)の変動係数(C.V.)
図2 エピクロロヒドリンの検量線
4. 結論
キャリアガスに窒素を用いたHS-GC-MS法によりエピクロロヒドリンの測定を行った結果、下限値濃度における感度および検量線の直線性のいずれにおいても良好な結果が得られた。本法は、キャリアガスに窒素を用いた場合でも、エピクロロヒドリンの定量分析に適用可能であることが確認できた。
