SEM-EDS-Ramanによる有機素材の解析
SM2026-02
はじめに
プラスチックやゴムなどの高分子材料、およびサプリメントなどの食品・薬品は有機素材で構成されており、その加工の容易さから多様な用途で広く活用されている。しかし、構造・添加剤・加工条件により性質が大きく変化するため、品質管理や新材料開発には正確な解析が不可欠である。
本発表では、SEM-EDSによる形態観察・元素分析に加え、Raman分析で化学結合情報を取得することで、有機材料の同定を可能にするSEM-EDS-Raman結合システムを用いた解析事例を紹介する。
このアプローチにより、同一試料の同一領域で形態、元素組成、化学構造を総合的に評価できることを示した。

![]()
1. 消しゴム

無機添加剤については、EDS分析によりCaCO3と推測でき、さらにRaman分析により同定された。
一方、有機素材はRamanによってPVC+可塑剤フタル酸エステル化合物と同定できた。さらに、PVCと可塑剤(フタル酸エステル化合物)が均一に混合されているため、Ramanイメージング分析においては同一領域として検出された。
2. 亜鉛サプリメント

EDS元素分析により、亜鉛(Zn)とカルシウム(Ca)の分布を確認できるが、化学組成の特定が困難である。
一方、Raman分析した結果、主成分は麦芽糖(C12H22O11)、グルコン酸亜鉛(C12H22O14Zn)、ステアリン酸カルシウム(Ca(C18H35O2)2)と明確に同定できた。
3. ポリエチレン(PE)の密度判定

赤枠内のピークを拡大して示すと、CH2bondingの違いが分かった。Amorphous CH2 bonding が高いほど、PEの密度が低い。一方、crystalline CH2 bonding が高いほど、PEの密度が高い。 Ramanイメージングから高密度PEと低密度PEが混在していることが判明した。
まとめ
EDSとRamanを搭載したSEM複合測定システムを用いることにより材料の成分の特定・組成分布・構造変化の評価ができ、さらにそれらを可視化することができた。
Ramanを使用すると、EDSだけでは分析が難しい化学状態が分析できる。
同じ領域のSEM観察、EDS分析、Raman分析が可能になるため、相互補完した材料解析を実現できる。
