HAXIS
LIM (Low-angle Ion Milling) - SEM
複合ビーム加工観察装置
PVC 観察による先端半導体不良解析
デバイス構造の微細化・複雑化が進む先端半導体では、微細な回路へのナノマニピュレータによる接触・測定が難しくなっています。さらに、プロービングによる接触が解析対象へ影響を及ぼす可能性もあり、新たな不良解析手法が求められています。JEOLは、電位コントラスト (PVC: Passive Voltage Contrast) 検出技術を長年研究し、検出器および試料前処理技術の高度化によって、PVCを安定かつ高再現性で観察する技術を確立しました。
3 nm プロセス技術

試料:SRAM (3 nmプロセス技術) | 入射電圧:0.3 kV | 検出器:UID
LIM-SEMは、この技術を結集したJEOLの新しい半導体不良解析プラットフォームです。
先端半導体においても、鮮明で再現性の高いPVC観察を実現。加工ダメージやコンタミネーションの影響を抑えながら、電気的な異常箇所を視覚的に捉えることで、不良箇所の特定と原因究明を効率的に行うことができます。不活性ガスであるArを採用することで、安定した加工品質と運用コストの削減を実現します。
半導体不良解析へのアプローチ
迅速な不良特定と高精度解析
半導体不良解析では、不良箇所の特定から物理解析、原因究明まで多段階の解析が必要です。デバイスの複雑化が進む中、不良解析から結果を得るまでの時間短縮がますます重要になっています。LIM-SEM は故障箇所の絞り込み工程に新たな解析手段を提供します。LIM 法による剥離加工とSEM を用いたPVC観察を組み合わせることで、不良箇所を迅速かつ高精度に特定し、QTAT(Quick Turnaround Time)の実現に貢献します。
半導体不良解析のワークフローとLIM-SEMの概略図
特長
1. PVC観察を支える低ダメージ剥離加工:LIM法

PVC観察では、剥離後の試料表面状態が観察品質を大きく左右します。Arイオンビームを用いた低角度イオンミリング (LIM: Low-Angle Ion Milling) 法による独自の剥離加工技術により、試料表面へのダメージを最小限に抑えながら、平坦な加工面を形成します。これにより、先端プロセスデバイスにおいても構造や電位情報を保持したまま、鮮明で再現性の高いPVC観察を可能にします。
機械研磨によって生じた微小な歪み・コンタミネーション (矢印部)
LIM 加工による平坦な加工面形成
試料:SRAM (7 nm プロセス技術) | 入射電圧:0.5 kV | 検出器:UID
2. LIM加工とPVC観察の繰り返し測定
欠陥位置の特定には、剥離加工と観察を繰り返しながら解析対象を絞り込む工程が不可欠です。装置間の移動や試料の載せ替えを不要にすることで、解析時間の短縮と作業効率の向上を実現します。加工と観察を繰り返しながら深さ方向に解析を進めることで、試料内部に存在する欠陥箇所を効率的に絞り込みます。
断面
剥離・PVC観察の繰り返し測定
a. 2min
b. 3.5min
c. 6min
d. 8min
e. 10.5min
f. 12.5min
g. 15min
h. 17.5min
i. 20min
試料:SRAM |入射電圧:0.5 kV |検出器:UID |加工電圧:6 kV
3. 真空搬送による低コンタミネーション
先端デバイスのPVC観察では、試料表面のわずかな汚染が観察品質に大きく影響します。真空搬送によって、前処理や大気曝露に伴うコンタミネーションを抑制し、PVC観察のばらつきを低減します。清浄な試料表面を維持することで、高倍率観察において安定したPVC像を取得できます。
大気曝露後
剥離加工後
試料:SRAM (7 nm プロセス技術)|入射電圧:0.5 kV |検出器:UID
4. PVCを強調するVCフィルター
デバイスの微細化が進む先端半導体では、不良に起因するわずかな電位差を鮮明に可視化することが求められています。PVC観察では二次電子信号を利用しますが、このうち、PVCへの寄与が小さい極低エネルギーの二次電子も多く含まれており、画像の鮮明さを低下させる要因となります。VC (Vivid Contrast)フィルターは、これらの不要な信号を除去することで、欠陥に由来するPVCの変化をより鮮明に取得します。
VCフィルターの構造
- 電極に-50~0 Vの負電圧印加→ 印加電圧以下のSE除去
- 0.1 Vステップで制御可能→ 試料に応じて最適な条件設定
VCフィルター OFF
VCフィルター ON
試料:SRAM |入射電圧:1 kV 検出器:UID
仕様・オプション
| 加工範囲 | 直径2,500 μm 以上※1 |
|---|---|
| イオン加速電圧 | 2~10 kV (イオンエネルギー:2~10 keV) |
| 使用ガス | アルゴンガス |
| 適用機種 |
SEM本体 :JSM-IT810 <SIL>※2、<SHL>、<HL> |
※1 加工条件 加速電圧: 8 kV、試料: 酸化膜付Siウエハー、回転速度: 3 rpm、加工時間: 2分
※2 VCフィルター搭載可能
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アプリケーション
SRAM不良箇所観察
不良がある試料では、PVCに変化が現れます。PVCは微小な抵抗差が反映され、抵抗の低いプラグは明るく、高いプラグは暗く観察されます。LIM加工後の試料は、不良箇所を鮮明に観察することが可能です。
不良品
正常品
試料: SRAM|入射電圧: 1 kV|検出器: UID
3D NAND
3D NANDは、金属層と絶縁層が数百層規模で積層された複雑な三次元構造をしています。上層からLIM加工をし、セルアレイ領域において金属膜と絶縁膜の構造を明瞭に観察しました。
絶縁層
金属層
試料: 3D NAND|入射電圧: 1 kV|検出器: UID|LIM加工電圧:6 kV|加工時間:39分
高分解能EBSD分析 ※オプション
LIM-SEMはSEM-EDSによる構造観察と元素分析に加え、高分解能EBSD分析にも対応しています。LIM法の高品質な加工面により、3D NANDの高アスペクト比タングステン配線からも高空間分解能な結晶方位情報を取得可能です。構造情報と結晶方位情報を組み合わせた評価を実現します。
EDS分析 W-M
EBSD分析
反射電子像観察 試料:3D NAND |入射電圧:5 kV |検出器:SBED
EBSD入射電圧:20 kV |ステップサイズ:10 nm
EBSD 検出器 (オックスフォード・インストゥルメンツ社製 AZtecHKL SymmetryS3)
関連製品
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半導体


