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電子顕微鏡 (SEM・TEM) と光学顕微鏡 (OM) の違い|仕組み・特長を観察事例とともに紹介

私たちの肉眼では捉えきれない微細構造も、顕微鏡を用いることで詳細に観察することが可能になります。下図は、「人の目」「光学顕微鏡」「電子顕微鏡(SEM)」それぞれが捉えられる対象のサイズと分解能の違いを示したものです。

たとえば、肉眼ではアリや花の形状は認識できますが、花粉や細菌の詳細な構造までは視認できません。光学顕微鏡を用いれば、花粉や昆虫の鱗粉など、ミクロンレベルの構造を観察することが可能です。さらに、電子顕微鏡 (SEM・TEM) を使用することで、細菌やウイルスといったナノスケールの対象まで高精度に捉えることができます。
このように、使用する顕微鏡の種類によって、観察可能な対象や情報の深度は大きく異なります。

本記事では、光学顕微鏡と電子顕微鏡の仕組みや特徴、目的に応じた使い分けのポイントを詳しく解説します。

光学顕微鏡と電子顕微鏡の違い

仕組みの比較

光学顕微鏡と電子顕微鏡の構造

光学顕微鏡の仕組み

光学顕微鏡は、可視光を光源とし、ガラス製の対物レンズと接眼レンズを用いて試料を拡大します。光は試料を透過または反射し、その経路上でレンズによって屈折されて像が形成されます。ユーザーは接眼レンズを通して、その像を直接確認します。光学顕微鏡の倍率は、対物レンズと接眼レンズの倍率の積によって決まり、一般に数十倍から数千倍程度の観察が可能です。

電子顕微鏡の仕組み

電子顕微鏡は走査電子顕微鏡 (SEM) と透過電子顕微鏡 (TEM) に分類されます。
ここでは走査電子顕微鏡 (SEM) について解説します。

走査電子顕微鏡は、電子線を光源とし、電子ビームを細く絞って試料表面を走査 (スキャン) することで、表面から発生する二次電子反射電子などの信号を検出し、拡大像としてモニター上に表示します。電子線の経路と試料室は真空状態に保たれています。観察倍率は、電子ビームが試料上を走査する範囲 (スキャン領域) と、モニター上に表示される画像サイズとの比によって決定されます。スキャン制御によって倍率を変えられるため、低倍率から高倍率まで連続的な調整が可能です。

特長の比較

光源・観察対象物のサイズの違い

電子顕微鏡は波長の短い電子線を、光学顕微鏡は波長の長い可視光線を用いて像を形成します。
この「波長の違い」により、分解能(どこまで微細なものを見分けられるか)に大きな差が生じます。
一般に、波長が短いほどより小さい構造を識別できるため、電子顕微鏡は光学顕微鏡よりもはるかに高い分解能を持っています。

光と電子の波長の違い

左:光の波長 (400~700 nm)
右:電子線の波長 (15 kV : 0.01 nm)
波長が短いほど、より小さな構造を識別できます。 顕微鏡が大きさを識別できる限界 (分解能) は波長程度ということになります。

試料室雰囲気の違い

光学顕微鏡は、大気圧下の自然な環境で観察が可能です。生きた細胞や微生物の動きをリアルタイムで捉えることができるため、生体試料の観察に適しています。

一方、電子顕微鏡は、電子線が空気中で散乱するのを防ぐため、通常は真空環境下で使用されます。そのため、試料には乾燥固定導電性の付与 (例:金属コーティング) などの前処理が必要となります。
ただし、近年のSEMでは低真空モードが導入されており、導電性のない試料や水分を含む生物、植物なども前処理なしで観察することが可能になっています。

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色情報の違い

光学顕微鏡像 (約200倍)

走査電子顕微鏡像 (約600倍)

試料:アサガオの花粉

光学顕微鏡では、可視光とガラスレンズを使って試料を観察するため、色のついた画像が得られます。特に生体試料では、染色によって細胞や組織の違いが分かりやすくなり、状態を視覚的に把握するのに役立ちます。

一方、走査電子顕微鏡 (SEM) は電子線を使って試料を観察するため、画像は白黒になります。これは、電子線が光とは異なる性質を持ち、色の情報をとらえることができないためです。その代わりに、光学顕微鏡では捉えにくい微細構造を高い分解能で観察することができます。たとえば花粉の観察では、光学顕微鏡で色や形の違いを確認し、観察対象や視野を定めたうえで、SEMを用いて表面の凹凸や微細な構造を詳しく調べることで、より効率的かつ深い理解につながります。

焦点深度の違い

焦点深度とは、「ピントが合っているように見える範囲」、すなわち像として明瞭に見える奥行きの広さを指します。

一般に、光学顕微鏡は倍率を上げるほど焦点深度が浅くなり、凹凸のある試料では一部にしかピントが合わず、全体像がぼやけて見えることがあります。
一方、走査電子顕微鏡 (SEM) は焦点深度が非常に深く、立体的な構造でも広い範囲にピントを合わせることができます。

例えば上の図のねじのスクリューの部分が該当します。

光学顕微鏡像では、限られた範囲にしかピントが合っておらず、奥行きのある構造全体を同時に捉えることは困難です。
SEM像では、凹凸全体にピントが合い、立体感のある鮮明な像が得られます。
表面の凹凸や微細な形状を詳細に捉える必要がある場合、SEMの優れた焦点深度が利点となります。

元素分析機能の有無の違い

電子顕微鏡では、電子線を試料に照射することで、試料中の原子から特性X線が放出されます。エネルギー分散型X線分析装置 (EDS)波長分散型X線分析装置 (WDS) を組み合わせることで、形態観察と同時に元素の種類の特定 (定性分析) や含有量の測定 (定量分析)、元素分布の可視化(元素マッピング)が可能です。

操作性の違い

光学顕微鏡は、試料を置いてピントを合わせるだけで観察できるため、特別な準備や環境調整を必要としないことが多く、教育や日常的な検査など、幅広い場面で使われています。

一方、従来の電子顕微鏡 (SEM) は、真空装置や冷却系の管理、定期的な保守作業に加え、振動や電磁波などの設置環境にも配慮が求められました。
近年では、操作性や設置性に優れたコンパクトな汎用型SEMが登場し、従来よりも導入・運用のハードルが大きく下がっています。これにより、専門性の高い研究現場だけでなく、教育現場や品質管理など、より身近な場面でも電子顕微鏡が活用されています。

博物館における卓上走査電子顕微鏡の導入事例は以下をご覧ください。

電子顕微鏡が体験できる博物館、操作はスマホ感覚

ミュージアムパーク茨城県自然博物館(茨城県坂東市)は、入館者が操作できる卓上走査電子顕微鏡(SEM)を導入しました。観察に必要な操作はすべてタッチパネル操作です。子どもたちに「また行きたい」と思わせる、魅力ある新たな展示になりそうです。

日本電子の卓上走査電子顕微鏡【JCM-7000 NeoScope™】

これまでご紹介したように、光学顕微鏡は操作が簡単で、生物の観察に適しています。一方、SEMは、より微細な構造を高精度に捉えることができます。それぞれに強みがありますが、「もっと細かく見たい」「でも操作は簡単にしたい」といったニーズに応えるのが、日本電子の卓上走査電子顕微鏡「JCM-7000 NeoScope™」です。

日本電子の卓上電子顕微鏡「JCM-7000 NeoScope™」

「JCM-7000 NeoScope™」は、光学顕微鏡では見えなかった微細な構造や成分の違いを、誰でも簡単に観察することができます。研究開発はもちろん、品質管理や製造現場での異物分析・材料評価など、幅広い分野で活用されています。

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◆上のボックス内の再生ボタンをクリックするとムービーが始まります。 (3分12秒) ◆

卓上SEM「JCM-7000 NeoScope™」の活用例

まとめ

光学顕微鏡と電子顕微鏡は、それぞれ異なる原理と特徴を持ち、観察対象や目的に応じて使い分けることで、より効果的な分析が可能になります。

日本電子の「JCM7000 NeoScope™」は専門的な知識がなくても微細構造や元素情報を簡単に観察・分析できる装置として、幅広い分野で導入が進んでいます。

導入に関するご相談や詳細な情報につきましては、お気軽にお問い合わせください。


日本電子株式会社

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