ESR 試料準備
ER230009
測定試料の分類
ESR分析法の対象となる試料は、固体、液体、気体いずれの状態でも測定が可能ですが、実際の測定では試料の特性に合わせたサンプリングが重要となります。試料の形状や溶媒によって試料管を選ぶ必要があります。まず試料が固体、液体、気体であるかを分類し、固体、または液体試料については、下記の表1の基準で判定することにより適切な試料管が選択できます。
表1. 測定試料の分類と試料管選択
測定試料の分類 | 適応可能な試料管 | |
---|---|---|
固体 | ①水分含有量が10%以上 | 径の細い試料管、ティッシュセル 乾燥させて標準試料管を用いる |
②水分含有量が10%以下 | 標準試料管 | |
③導電性がある | 径の細い試料管、キャピラリーチューブ | |
液体 | ④水溶液またはアルコール溶液 | 水溶液セル(ES-LC12) 、キャピラリーチューブ |
⑤ ④以外の極性溶媒 | 径の細い試料管、キャピラリーチューブ | |
⑥無極性溶媒 | 標準試料管 |
※液体試料は凍結させて固体の ESR 信号を観測することも可能です。
試料の採取量
ESR測定が可能な試料長はキャビティーに依存しており、それより長い試料を導入しても測定結果は変わりません。複数の試料で定量的な比較を行う際には、採取量を揃えることで誤差を軽減できます。不対電子量が多い試料、導電性の高い試料や誘電損失の大きい試料では採取量が多いと ESR 信号が観測しにくくなる場合があります。その際には試料の採取量を減らします。粉状の試料は、採取方法によってその量が変わる場合があるため、粒径を揃えたり、均一な密度で詰めたりすることで、定量性の高い測定が可能となります。誘電損失等の影響を受けない試料では大口径試料管で多量の試料を計測することで強い信号を得ることができます。
ESR測定の際に検討が必要となる項目に関わりのあるアプリケーションノートを表2にまとめました。各種試料管についてはアプリケーションノートの他にアタッチメントカタログもご参照ください。
表2. アプリケーションノート
検討項目 | アプリケーションノート |
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試料の調整 ① ~ ③ | ER230004 ~ ER230006 |
ESR測定条件 | ER220001 / ER220003 ~ ER230005 / ER230008 |
試料の状態によるESR信号の線形変化 | ER220002 / ER220006 /ER210002 |
各種試料管のご紹介 | ER160001 / ER140001 /ER130005 /ER040003 |