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ムービー内で紹介したアプリケーション

高質量分解能MALDI-TOFMS JMS-S3000 SpiralTOF™によるマスイメージング なぜマスイメージングに高質量分解能が必要なの?

マスイメージングは、当初タンパク質、ペプチドなど高分子量の化合物を対象に技術開発が進みました。
しかしアプリケーションが拡大するにつれ、脂質、薬剤、代謝物など低分子化合物の分析が主流となっています。従来のリフレクトロン型MALDI-TOFMSは、マトリックス由来のピークが観測されてしまう低分子量域の測定は不得意とされてきました。マスイメージングではそれに加えて、試料表面の夾雑物成分も観測されるため、目的化合物の観測を妨げる要因が増えます。そのため、低分子領域であっても高い質量分解能で、選択性の高い局在情報を取得することが大変重要です。
SpiralTOF™は、それが可能な唯一のMALDI-TOFMSといえます。

組織切片は、ITOスライドガラスにのせ、マトリックス溶液を噴霧します。

厚みのある基板用のプレートも準備しています。レーザーを試料表面上で二次元に走査し、各ピクセルでマススペクトルを取得していきます。マススペクトル上の特定ピークを指定することで、その化合物の局在情報を可視化することができます。マスイメージングデータは、msMicroImager™ で解析したり、imzMLへ変換してBiomapなどで解析することも可能です。

マウス脳切片中の脂質解析

マウス脳切片中には、多様な脂質が存在し、m/z 700-1000にかけて、複雑なマススペクトルが得られます。それらピークの大多数は、ベースピークに対して10%以下の微量成分です。そのため脂質をターゲットとしたマスイメージングでは、ベースライン付近において、高い質量分解能が要求されます。下図に、m/z 820-823の拡大図を載せました。0.1 u程度の質量差のピークが多数観測されています。SpiralTOF™ の高質量分解能により、アイソバリックなピークを分離し、精密質量測定により4種類の脂質の組成推定を行いました。また、化合物固有のイメージを描くと各々が異なる局在を示していることがわかります。従来リフレクトロンTOFMSでは、0.1 u以下の分離が難しく、脂質の組成推定はもちろん、局在情報が混合した結果となります。

本分析は、大阪大学大学院理学研究科附属基礎理学プロジェクト研究センター先端質量分析学研究グループとの共同研究の成果です。
組織切片は、大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻 粟津研究室より提供いただきました。

SCiLS Lab MVS を用いたマスイメージングデータの統計解析

マスイメージングデータ解析ソフトウェア SCiLS Lab MVS を用いて、上記データで検出された多数のピークに基づいて統計解析を行いました。JMS-S3000 SpiralTOF™-plus の高い質量分解能を活かして、特徴的な部位の探索 (segmentation)・特徴的部位のマススペクトルの抽出が可能です。

pLSA (probabilistic latent semantic analysis) 解析の結果

Segmentation の結果

pLSA のスコアプロットとSegmentation の関係

Segment 毎のマススペクトル比較

SCiLS Lab MVS, Version 2020b Premium3D で解析

msMicroImager™ を用いた合成ポリマーのマスイメージングデータ解析

従来のマスイメージングでは、特定の質量を指定し、マスイメージを抽出します。しかし、ポリマーは分子量分布をもつため、従来手法ではある特定の重合度のマスイメージにしかならず、ポリマー全体の空間分布を可視化できません。
この問題を解決すべく、 msMicroImager™ (オプション) では、 ポリマーの数平均分子量 (Mn), 重量平均分子量 (Mw)、多分散度 (D) でイメージを描くことが可能になりました。これにより各重合度・同位体ピークに由来する数10~数100およびマスイメージを3つのイメージに集約しポリマーの空間分布をより直感的に解析することができます。

分子量分布の異なるポリエチレングリコールのイメージング質量分析 (MSTips No.305)

従来法では、ポリマーの特定の重合度の分布しか可視化できない。

msMicroImager™ と msRepeatFinder を組み合わせた合成ポリマーのマスイメージング解析

仕様・オプション

名称(型番) 機能等
プレート サンプルプレートホルダー HST社製ITOガラスサンプルプレート専用
HST社製ITOガラスサンプルプレート
0.7mm厚25枚入り
マルチターゲットプレート 厚みのある部品などの測定用
0.5mm/1.0mm深さの彫込み
ソフトウェア MS-56530MSI
マスイメージング測定支援プログラム
msTornado™への、1D Scan測定、2D Scan測定機能付加
マスイメージングRawdataのimzMLへの変換
msMicroImager™
MS-56550MSIV
マスイメージング解析プログラム
マスイメージングデータ読み込み、ビニング処理
マスイメージ一括抽出、ROIスペクトル作成、
マスイメージ一覧表示、色調変更
マスイメージ演算(除算、積算)、マスイメージ重ね合わせ
ポリマーの平均分子量・多分散度によるイメージ作成
SCiLS Lab MVS (Bruker Daltonik社製)
BioMap(Novaltis Institutes for BioMedical Research)
MSiReader(NORTH CAROLINA STATE UNIVERSITY)など
日本電子製以外のソフトウェアはimzML形式に変換することで使用可能です。

マルチターゲットプレート。厚みのあるサンプル導入用(0.5mm & 1mm 厚)(上図)
サンプルプレートホルダー。HST社製ITOガラスサンプルプレート専用 (下図)

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アプリケーション

MS-Imagingに関するアプリケーション

JMS-S3000 SpiralTOF™イメージングアプリケーションノートブック

JEOL製超高分解能MALDI-TOFMS JMS-S3000 SpiralTOF™シリーズで測定されたデータに基づくアプリケーションノート・日本電子news記事の中から、イメージング質量分析に関するものをまとめた冊子 (アプリケーションノートブック) です。
2020年4月時点の、JMS-S3000 SpiralTOF™ 関連論文一覧を含みます。

ソリューション別アプリケーション

特徴的なハードウェア

SpiralTOF™は、世界最高の質量分解能をもつMALDI-TOFMSです。その特徴はイメージング質量分析でも威力を発揮します。
→ 高質量分解能 (<0.1uのピーク分離)
→ サンプルの凹凸に左右されない質量軸安定性
→ PSDイオン除去による低バックグランドノイズ

解析ソフトウェア

脂質

生体組織中には多様な脂質が存在するため、複雑なマススペクトルが得られます。マススペクトル中のピークの大部分は、ベースピークに対して10%以下の微量成分です。そのため脂質をターゲットとしたイメージング質量分析では、高い質量分解能が要求されます。

医薬品

医薬品など低分子化合物を対象としたイメージング質量分析では、放射性同位元素を用いたWhole body autoradiographでは識別できない、薬剤とその代謝物を同時に観測できることが利点です。SpiralTOF™の高質量分解能、PSD由来イオンの排除による低バックグランドノイズは、微量な目的化合物の観測も容易にします。また高エネルギーCIDにより切片上という夾雑成分が多い中でも、的確にプリカーサイオンを選択し、構造解析から同定も可能です。

工業材料分析

表面分析

関連製品

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やさしい科学

主なJEOL製品の仕組みや応用について、
わかりやすく解説しています。

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